ファスティングと断食はどう違う?正しい知識と方法で健康になろう
昨今、外食や飲み会の機会が減り、家で過ごす時間が増えています。そんな今だからこそ挑戦しやすいのが、プチ断食ともいわれるファスティングです。ファスティングに関する正しい知識や方法を知り、体をすっきりと健康的に生まれ変わらせてみませんか?
ここでは、ファスティングの基礎知識や手順などを解説します。参考にして、ぜひチャレンジしてみてください。
健康や美容の観点から注目されるファスティング
ファスティング(fasting)は、直訳すると「絶食」「断食」です。古くから世界各地で宗教的な儀式や修行のひとつとして取り入れられてきましたが、近年は健康や美容といった観点から注目されています。
言葉でこそ絶食・断食を意味するファスティングですが、健康や美容目的で行うファスティングは、完全なる絶食ではありません。通常の食事はとらずに、必要最低限のカロリーや栄養素をファスティングドリンクと呼ばれる飲み物から摂取して過ごします。
暴飲暴食になりがちな現代の食生活をあらため、ファスティングドリンクを摂取して胃腸などの内臓を休めることで健康や美容につなげます。
目的は体内リセット!ファスティングで得られるメリットとは?
ファスティング期間中は、固形物を体内に入れないことで、日々酷使している内臓を休ませ、機能の回復を図ります。ファスティングは、食べないことでカロリーを抑えるのが目的ではなく、体調を整えること=体内リセットが真の目的なのです。
ファスティングによってさまざまなメリットが得られますが、大きくは「デトックス効果」「腸内環境の改善」「脂肪燃焼」が挙げられます。詳しく見てみましょう。
デトックス効果
ファスティングを行い、内臓を休ませることで体の解毒機能が高まり、体に溜まっていた老廃物や毒素を排出するデトックス効果が期待できます。ファスティングによるデトックス効果で肌がきれいになる、代謝が上がる、体が軽く感じるといったメリットが得られます。
腸内環境の改善
腸内環境の改善も、ファスティングの大きな効果のひとつです。1日3回食事をする普段の生活は、胃や腸といった消化器官に思った以上の負担をかけています。さらに、油物や食品添加物たっぷりの食事をしている場合、胃腸への負荷は相当なもので、働きが低下するとともに、腸内環境も乱れます。
そんな状態をファスティングでリセットし、腸内環境が改善されると、便秘解消や免疫力アップ、ホルモンバランスの改善、自律神経の調整などにつながります。
脂肪燃焼
ファスティングによって、脂肪燃焼の効果も期待できます。食事からのエネルギー摂取が少なくなるファスティング期間は、すでに体に蓄えられているグリコーゲン(細胞内にある貯蔵多糖)を使ったり、体脂肪を燃焼したりすることで、活動するためのエネルギーを得るようになるからです。
ファスティングの手順~3つのステップ~
続いては、ファスティングの正しい方法を解説します。
まず、注意すべきは、いきなりファスティングを行わないことです。ファスティングを行う期間の前後に、必ず「準備期間」と「回復期間」を設けます。ファスティングの日数に対して、最低でも半分の日数を準備と回復に確保しましょう。例えば、ファスティングを4日間行うのであれば、その前後2日間以上を準備期間と回復期間にあてるのです。
具体的にファスティングの手順を、3つのステップに分けてご説明します。
ステップ1 準備期間
準備期間は動物性の食べ物や小麦粉類を避け、消化の良い、昔ながらの和食(豆や穀物、野菜など)を中心とした食事にします。量は腹7~8分目に抑え、砂糖の入ったスイーツや、コーヒー・お酒などの刺激物も控えます。
ステップ2 ファスティング期間
いよいよファスティング開始です。ファスティングを始めたら、ファスティングドリンクと1日1~2Lの水のみで過ごします。水分だからといって、水の代わりにお茶やコーヒー、お酒を飲むのは禁物です。
ステップ3 回復期間
ファスティング期間終了後、すぐに通常の食事に戻ってはいけません。ファスティングによって消化器官は吸収力が高まっています。この状態で肉や油物、添加物の入った加工品を入れてしまっては、ファスティングが台無しになると同時に、体調を悪化させるおそれがあります。
重湯(ごく薄いおかゆ、またはおかゆの上澄み)、具材のないスープなどからスタートし、次いでおかゆ、よく煮た野菜…と、少しずつ通常食に戻していきましょう。食べる量も、少量をゆっくり食べるところから徐々に増やしていきます。
ファスティング期間はどのくらいにすればいい?
ファスティングを行う上で悩むのが、日数です。ここで知っておきたいのは、ファスティングは1日でも一定の効果は得られ、長ければ良いというものではないことです。
長期間のファスティングは体へのリスクが高く、リバウンドが大きくなる可能性もあります。日数によって期待できる効果は変わるため、目的に合わせて無理なく設定しましょう。
<ファスティング期間の目安>
・内臓を休めたい:1~2日程度でOK
・デトックス効果を得たい:3~4日程度
・脂肪燃焼に期待したい:5~6日程度
なお、女性の場合は生理前ではなく、生理後1週間~10日程のタイミングで実施するのが最も効果的だとされています。
ファスティング期間中に飲むファスティングドリンクは何がいい?
ファスティング期間中に飲むファスティングドリンクには、さまざまな物が用いられます。いずれの場合も期間中に最低限必要なカロリー、栄養素を摂取できるかどうかが重要なポイントです。
続いては、代表的なファスティングドリンクを3つご紹介します。
発酵ドリンク
ファスティングドリンクとして、よく知られている発酵ドリンク。これは、野菜や果物などを微生物の働きで発酵させて作った飲み物で、最低限のカロリーとともに、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどの栄養素をスムーズに摂取できるのが特徴です。
発酵ドリンクは、発酵成分の濃度が高い物を選択しましょう。精製糖、人工甘味料、添加物が含まれていないこともチェックしてください。
味噌汁
日本の食卓では、古くから多くの優れた発酵食品が取り入れられてきました。その代表格のひとつが味噌。普段、何気なく口にしている味噌汁は、いわば最も身近な発酵ドリンクです。この味噌汁をファスティングドリンクとして用いるのも手です。
具材はなしで、味噌を出汁でといたものを用意します。塩分量に気を付けつつ、出汁は動物性のかつお出汁ではなく、できるだけ昆布出汁にすることをおすすめします。
スムージー
緑の葉物野菜を中心に、さまざまな種類の野菜や果物を、皮付きのまま水や氷とともにミキサーにかけて作るのがスムージーです。加熱しないので栄養素が損なわれず、食物繊維も豊富に摂取できます。「満腹感を得やすい」「材料を変えることで多様な味を楽しめる」といった点も、ファスティングドリンクに適しています。
OK?NG?安全に行うために知っておきたいこと
ファスティングを安全に行う際には、注意すべき点をしっかり理解しておきましょう。ファスティングにおけるOKやNGな行為についてまとめました。
無理してファスティングを行うことはNG
ファスティングでは、決して無理をしないことが重要です。
計画した期間を達成しなければと無理をした結果、体を壊してしまっては本末転倒。体調に不安を感じたら、途中でやめる決断も必要です。
ファスティング期間を中断する場合は、急に元の食生活に戻すのではなく、回復期へ移行して体調を見ながら食べ物を調整し、通常食に戻すようにしましょう。
ファスティングドリンクの一気飲みはNG
ファスティング期間中は食べ物を口にしないため、どうしても血糖値が不安定になりがちです。ファスティングドリンクで適度に糖分を摂取しますが、一度にたくさんの量を摂取すると血糖値が急上昇し、それを下げようと体が働くことで低血糖を招きかねません。少しずつゆっくりと飲み、血糖値を安定させることが大切です。
適度に動くのはOK、激しい運動はNG
最小限のカロリーのみで過ごすため、ファスティング期間中はエネルギーを使わずに過ごしたほうが良いと思うかもしれません。運動量の多いスポーツや体への負荷が大きいトレーニングなどは控える必要がありますが、適度に動くことは脂肪燃焼の効率を高めるとともに、気分転換としても効果的です。
軽い散歩やヨガといった、緩やかな運動を取り入れるといいでしょう。
ファスティングは誰でもOKではない
成長期の子供、妊娠中の人、体力の低下している高齢者は、ファスティングには向きません。また、持病のある人は、必ず医師に相談の上、行うようにしましょう。体調に不安のある人も同様です。
ファスティングは健康に不安のない人でも、専門家の指導や専門書を参考にして、無理せず行ってください。
ファスティングで食生活を見直すきっかけにしよう
ファスティングの目的として健康や美容だけに目が行きがちですが、ファスティングの経験が食生活を見直すきっかけにもなります。ファスティングによって体がリセットされるだけでなく、今まで意識していなかった食事のとり方や、食事内容を見直す「心のリセット」にもつながるからです。
ぜひこの機会に、心と体のリセットができるファスティングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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