知っておきたい!子育てにかかるお金と給付制度

子育てには何かとお金がかかりますが、特に子供が専門学校や大学などに進学するタイミングでは、大きな費用がかかります。
安心して子供に学習の機会を与えるためにも、あらかじめ、いつまでにいくら用意しなければならないか知り、それに向けて準備しておくことが大切。そこでこの記事では、子育てにかかるお金の種類や金額、さらには補助金まで紹介していきます。

子育てにかかる2種類のお金

子育てにかかるお金は、大きく「養育費」と「教育費」に分けることができます。それぞれ、どんな費用なのか具体的に見ていきましょう。

「養育費」は子供が生きていくために必要なお金

子供は自分でお金を稼ぐことはできませんから、衣類や食費、必要な日用品などはすべて親が買い与えることになります。このような、子供が生きていくために必要なお金を「養育費」と呼びます。
養育費には、衣食住にかかる費用やおこづかい、医療費、子供の携帯電話料金、学資保険の保険料のほか、七五三や誕生日といったお祝いにかかる費用などの費用が含まれます。

「教育費」は教育にかかるお金

教育費は、子供の教育にかかるお金です。「子育てにはお金がかかる」といったときは、教育費を話題にしている場合が多いでしょう。これは、養育費が継続的に家計の中から支出するものであるのに対し、教育費は、入学や学費納入といった一時的なタイミングで多額の費用を必要とするもののためと考えられます。

一度に100万円以上が必要になることもある教育費は、計画的に用意しておかなければ、なかなか払うことができません。子供の将来を、お金を理由に制限することがないよう、子供が幼いうちから準備を進めておく必要があります。
子育てにかかる費用は、多少前後することはあるものの、多くの場合、小学校入学から大学入学まで年々増え続けます。そのため、子供が進路を決めてからお金を貯めようとしても、準備が間に合わない可能性が高いのです。

養育にかかる費用はどのくらい?

やや古いデータですが、内閣府の「インターネットによる子育て費用に関する調査 」によると、未就学児の「第1子一人あたりの年間子育て費用総額」は約84万円。そこから保育費・レジャー費・子供の貯金など、養育費以外を除くと金額は約50万円です。小学生になると子育て費用総額は増えて約115万円に。そこから先ほどのように養育費以外の費用を除くと約52万円です。

中学、高校と成長していくにつれて、だんだんと食費や被服費、おこづかいなどにかかる金額が増えていくと考えると、年間50万円以上の養育費が継続して必要になると考えられます。つまり、養育費がかかるのを18歳までと見積もったとしても、約1,000万円程度。これに保育費やレジャー費などが加わると、1,500~2,000万円程度の支出も十分考えられるでしょう。

ただし、養育費は一度に多額の費用が必要になるというものではなく、継続的に費用がかかり続けるものです。例えば、家賃を毎月8万円として、18年間支払い続けると1,728万円にもなります。一度に払うことはできないような大金も、継続してなら支払うことができますよね。

養育費も同様、月々の生活費の中でやりくりをすることができれば、取り立てて「合計いくらかかるのか」を意識して貯める必要はないでしょう。例えば養育費が年間約50万円だとすると、毎月かかる費用は約4万円ということです。

なお、当然ですが養育費をはじめとした子育てにかかる必要な金額の内訳は、子供の年齢によって変わります。乳幼児のころは、おむつ代やミルク代などの日用品に多くお金がかかりますが、保育園や幼稚園に入ると、それらの施設に支払う費用の負担が大きくなります。

小学校に入ると、一時的に支出がやや減少するものの、今度は学校関連費が増え始め、食費や日用品、被服費も高くなっていきます。習い事や塾に行く子供も増えていくでしょう。このような変化を意識した上で、随時家計の予算立てや見直しをしていくことが、無理なく支払っていくためのポイント。毎年一度、子供の成長を振り返りながらその年の家計を見直し、翌年の予算を検討する時間を取ってみてはいかがでしょうか。

教育にかかる費用はどのくらい?

教育にかかるお金は、養育費とは異なり、一度に多額の支払いをしなければならないものです。特に、私立の学校に通う場合は、費用が高額になることから、月々のやりくりだけでは準備が足らない可能性が高いです。あらかじめいくらかかるのかを計算し、準備を進めておくようにしましょう。

高校までにかかるお金

高校までにかかる教育費は、下記のとおりです。

■幼稚園から高校までの教育費の総額
公立 私立
幼稚園(3年) 49万5,378円 92万6,727円
小学校(6年) 211万5,396円 861万8,118円
中学校(3年) 161万6,397円 430万9,059円
高校(3年) 153万8,913円 316万3,332円
合計 576万6,084円 1,701万7,236円
※文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」1年間・子供一人当たりの学習費総額をもとに算出。

公立を選ぶか私立を選ぶかで、教育費に3倍以上の大きな違いがあることがわかります。さらに、私立はどの学校を選ぶのかによって学費が異なります。
高校の授業料は就学支援金によって実質無償化しましたが、授業料以外に寄付金を求められたり、修学旅行や制服の金額が公立校に比べて高かったりといったこともあるでしょう。さらに私立の場合、小中学校から学校が遠方になる可能性があり、その場合は交通費もかかります。そういった支出を考えた上で、公立にするか私立にするかを選ぶ必要があります。

なお、まとまったお金が必要な教育費ですが、上記の金額を一度に用意しなければいけないわけではありません。特に公立では、ランドセルや制服、体操服などは入学時に必要ですが、それ以外の費用は随時かかってくるもの。入学のタイミングでまとまったお金がないからといって、慌てなくても大丈夫です。
一方、私立の場合は、入学時に入学金や初年度授業料、設備費、PTA費、寄付金、修学旅行費用などをまとめて支払うケースが多くなっています。

習い事など学校外の学習にもお金はかかる

なお、前述した教育費の総額には、学校以外の習い事や塾に通うための費用も含まれています。
どのくらいかというと、公立小学校に通う場合の学校外の活動費が年間24万7,582円。私立小学校に通う場合、年間66万797円です。中学では公立で36万8780円、私立で36万7,776円と、そこまで開きはありません。高校は、公立で20万3,710円、私立で30万4,082円です。

この結果を見ると、特に私立に行かせる場合ですが、子供が幼いときほど、習い事や塾など学校以外の費用にお金をかける人が多いと予測できます。
学習塾に通わせるかどうかは、子供の進路希望などによって異なり、費用は家庭によって大きく変わってきます。子供が「行きたい学校があるから勉強をがんばりたい」「塾に通いたい」と希望したときに、快く費用を出せるよう準備しておきましょう。

大学にかかるお金

大学は、小学校から高校までに比べて多額の費用がかかるといわれ、学資保険も大学入学のタイミングである、18歳を満期にした商品が多くあります。
文部科学省の調査によると、大学の学費も、国公立か私立かで異なります 。

■公立大学と私立大学でかかる費用
入学費用 授業料(初年度) 4年間合計
国立大学 28万2,000円 53万5,800円 242万5,200円
公立大学 39万1,305円(地域外) 53万6,363円 253万6,757円
私立大学 24万5,951円 93万943円 414万9909円
※文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について 」「国公私立大学の授業料等の推移 」より。
※「地域外」は大学の地元出身者でないことを指す。

ただし、同じ私立大学でも、文系よりも理系のほうが学費は高くなり、医学系の場合はさらに高額になります。上記の費用以外にも学習に必要な教科書代やゼミ合宿代など、随時費用がかかることから、大学進学費用は300~500万円程度の準備があっても足りなくなる可能性も考えられます。

さらに、一人暮らしをする場合は、これに仕送りや家賃(寮費)などがかかります。そうなると、倍以上のお金が必要になることもあるでしょう。

子育てに関する補助金

養育費と教育費を合わせると、子供を育てるためにかかるお金は莫大な金額に上ります。とはいえ、実際には、これらすべてを自分で用意する必要はありません。下記のように各種補助金も用意されています。

児童手当

児童手当は、0~2歳は1万5,000円/月、3歳~小学校修了前は1万円/月(第3子以降は1万5,000円)、中学生は一律1万円/月を受け取れる制度です。
子供が生まれてから中学校卒業まで児童手当を貯めた場合、生まれ月によっては200万円近い金額になります。大学進学にかかる費用を300万円と見積もった場合、児童手当だけで3分の2を貯めることが可能です。

児童育成手当 ・児童扶養手当

母子家庭または父子家庭で子供を養育している人などが受け取れる手当もあります。児童育成手当は、受給者の所得に制限があり、一定の額を超えると受給できません。
児童扶養手当の場合は受給者だけでなく、同居している扶養義務者にも所得制限があり、養育費についても8割を所得に算入して判定されます。なお、所得額によって全部支給と一部支給があり、全額受給できない場合もあります(所得によって段階的に受け取れる金額が減少)。
所得制限にかからなかった場合、下記の金額を受け取ることができます。

・児童育成手当:1万3,500円/月
・児童扶養手当(全部支給):第1子4万3,070円、第2子5万3,240円、第3子以降1人につき4万9,170円(隔月支給)
※いずれも18歳の3月31日まで(2023年2月現在)

保育園無償化

2019年10月から、幼稚園、保育所、認定こども園等の利用料について、住民税非課税世帯の0~2歳の子供と、3~5歳までのすべての子供について無料になりました。
認可外保育施設を利用している場合も、「保育の必要性の認定」を受けることで、住民税非課税世帯の0~2歳児は月額4万2,000円まで、3~5歳のすべての子供は月額3万7,000円までの利用料が無料になります。

子育て支援パスポート

子育て支援パスポートをもらうことで、各地の飲食店などで子供に関する割引や優待サービスが受けられます。
元々は地域の一部店舗でのみ使えるサービスでしたが、2017年からは全国的に使えるよう、内閣府主導で共通展開が実施されています。アプリを用意している自治体もあるため、お住まいの地域での活用方法や対象店舗を確認してみましょう。

高等学校等就学支援金制度

日本国内に在住し、高等学校、高等専門学校(1~3年)、専修学校(高等課程)などに在学する人を対象とした制度です。世帯年収が590万円未満の場合、公立高校で年間11万8,800円、私立学校で年間39万6,000円を受給できます。世帯年収が590万円以上910万円未満の場合、公立でも私立でも、年間11万8,800円が受給できます。
この他に都道府県で独自の制度を用意している場合もあるため、確認してみてください。

子育てにはお金がかかるが補助制度もある

子育てには多額の費用がかかりますが、一度に支出しなければならないお金はそれほど多くありません。また、補助制度も拡充されつつあるため、それらをうまく利用しながら将来に備えましょう。それと同時に、子供に対して「お金の使い方」を教えることも大切です。子供の将来のために、まずは両親がお金に対する意識を高め、家計を見直すことから始めてみてください。

【監修者プロフィール】
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。

 

執筆者プロフィール

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