投資信託とは?初心者におすすめの運用をわかりやすく解説

投資信託は、簡単に分散投資ができて、運用自体をプロに任せられるというお手軽な投資手法です。投資を行うにもどのような銘柄を選べばいいかわからない人や、あまり大きなリスクはとりたくない人でも、投資信託なら無理のない範囲で資産運用ができるでしょう。

ここでは、これから投資信託を始めたい人向けに、特徴や、メリット・デメリットをご紹介します。

プロに運用を任せられる投資信託

投資信託は、投資手法のひとつです。投資信託を購入し、購入金額よりも高額で売却することで、その差額が利益となります。また、投資信託の中には、定期的に分配金が配られるものもあります。

投資信託の仕組みとは?

そもそも投資信託は、投資家から集めたお金を使って、運用のプロが資産運用を行うという仕組みの投資です。運用によって得られた利益の大半は、投資家に還元されます。この還元は、分配金という形で定期的に分配されるケースと、再投資するケースがあります。

再投資される投資信託の場合、複利効果が得られ、効率良く資産形成ができるといわれています。分配金を受け取ると運用資産が減少し、運用効率が下がってしまうこともあるのです。とはいえ、投資信託を売却するまで利益が確定されないため、思うような利益が得られない場合もあります。

また、投資信託を購入・売却するときの金額は、「基準価額」によって決まります。基準価額は、それぞれの投資信託ごとに、毎日1回決まり、株式のように、リアルタイムで変動するものではありません。

基準価額は、下記の式によって求められます。

基準価額=投資信託の純資産総額(投資信託全体で管理している資産のうち、負債を引いた金額)総口数10,000

基準価額が購入時よりも値上がりすれば、売却益を得ることができます。

例えば、ある投資信託が、1口1円で売りに出されたとします。1万人の人がこれを購入した場合、この投資信託は1万円を元手に運用を行うことになります。
この時点の基準価額は、「1万円(純資産)1万口(総口数)10,000=1万円」です。

その後、運用が成功して純資産が1万2,000円に増えたとしましょう。すると、基準価額は「1万2,000円1万口10,000=1万2,000円」となります。つまり、この投資信託を買った1万人の人たちは、購入した金額の1.2倍の金額で投資信託を売却できるということです。

このように、分配金がなかったとしても、投資信託の運用がうまくいっていれば、投資家は利益を得ることができます。反対に、運用が失敗して基準価額が下がれば損失につながります。

投資信託の運用方法は、個人にも明らかにされている

投資信託では、投資家から集めたお金をプロが運用して利益を上げることを目指します。しかし、どのような運用を行うのかは、投資家に対しても明らかにされています。

いくら「プロが運用する」といっても、自分のお金がどのように運用されるのかまったくわからないのは不安でしょう。
投資信託では、商品ごとに、「主に米国株式に投資をする」「日経225の株式に投資をする」など、投資先がある程度決まっています。中には、「国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)等にバランス良く投資をする」という投資信託や、「医療関連企業への投資」「IT企業への投資」など、業種を選んで投資を行う投資信託もあります。

投資信託の運用・管理を担う3つの会社

投資信託は、「販売会社」「信託銀行」「運用会社」の3つの会社が関わって、運用と管理を行っています。それぞれの役割は以下のとおりです。

・販売会社
販売会社は、投資信託を直接投資家に販売する会社のことです。投資信託を取り扱っている証券会社や銀行などが販売会社にあたります。
販売会社は、投資信託の販売だけでなく、基準価額の推移や目論見書の提示といった、投資家が投資信託を選ぶ際の目安になる情報の提供や、投資信託選びのアドバイスなども行っています。

・信託銀行
販売会社を通して集められた投資家の資産は、信託銀行に預けられることになります。信託銀行は、それぞれの投資信託や投資家ごとに、信託財産を分けて管理します。これによって、信託財産が守られることになります。

・運用会社
運用会社は、実際に投資家から集めたお金で運用を行う会社です。

投資信託は安全?

投資信託に関わる会社が3つに分けられていることで、仮に、どこかひとつの会社が破綻したとしても、投資家の財産が守られる仕組みになっています。

例えば、運用会社が破綻したとしても、信託財産は信託銀行にあるため、損なわれることはありません。ほかの運用会社が引き継いで引き続き運用が行われるか、繰上償還(運用を終了して投資家に償還されること)が行われます。

また、販売会社が破綻した場合も、販売窓口を別の販売会社に変えて、引き続き運用を行うことができます。なお、信託銀行が破綻した場合でも、投資信託の資産は別の信託銀行に移して引き続き運用が行われるか、破綻時の基準価額を基に投資家にお金が返還(償還)されることになります。

投資信託のメリット

投資信託にはさまざまなメリットがありますが、特に初心者向けのメリットとして、「少額から始められる」「運用をプロに任せられる」「自動的に分散投資ができる」という3点が挙げられます。

少額から始められる

株式投資をする場合は、最低100株の購入が必要な場合が多く、銘柄によっては100万円以上の高額な資金が必要になります。一方、投資信託は、100円や1,000円といった少額から購入することができます(具体的な購入額は投資信託の種類や販売会社等によって異なります)。
投資信託は、余裕資金で無理なく投資を始めたい人や、試しに少しだけ投資を経験してみたい人にも適しているといえるでしょう。

運用をプロに任せられる

投資信託は、「プロが投資家から集めたお金を、複数の投資先に分散投資することで利益を上げる」という投資手法ですから、自分自身で個別の投資先を選ぶ必要がありません。
投資で成果を上げるには、景気や経済、企業の業績など、さまざまな情報を分析することが必要ですが、投資信託なら専門知識を身に付けたファンドマネージャーに運用を任せることができます。

自動的に分散投資ができる

投資信託を利用することで、自分自身で分散投資を行わなくても、分散投資をしているのと同じ効果を得ることができます。
分散投資は、投資をする際のリスク対策として効果的です。1つの投資先にだけ投資し、万一投資先が破綻した場合、多額の資金を失うことになります。また、価格変動が起こった際も、1つの投資先にしか投資をしていなければ、影響を大きく受けることになります。

一方、分散投資をしていれば、仮に1つが値下がりしたとしても、ほかの投資先が値上がりしていれば、損失を埋めることができるのです。

また、投資信託はさまざまな金融機関が扱っているため種類が多く、それぞれ異なる運用方針や運用先を持っています。株式のように個別の銘柄を指定することはできませんが、運用方法や投資先を基に選択することが可能です。例えば「米国の株式市場に投資したい」という人は、米国株で運用を行う投資信託を購入するなど、自分の考えに応じて選ぶことができます。

投資信託のデメリット

メリットの多い投資信託ですが、始める前にはデメリットを押さえておくことも重要です。投資信託のデメリットである「手数料がかかる」「元本割れする可能性がある」「節税効果が少ない」という3点を解説します。

手数料がかかる

投資信託の購入には手数料がかかりますし、投資信託を保有している期間は、信託財産の中から信託報酬(運用中にかかるコスト)が差し引かれます。また、換金する際は信託財産留保額の負担が必要になることも。たとえ購入時と売却時の基準価額がまったく同じだったとしても、手数料や信託報酬、信託財産留保額などがかかれば、それだけ資産が目減りすることもあるでしょう。

信託報酬は、販売会社、信託銀行、運用会社の3社が分割して受け取るもので、信託報酬がどのくらいかかるかは、それぞれの投資信託によって異なります。

一方、手数料は販売会社の利益になり、中には、「ノーロード」と呼ばれる、手数料無料で購入できる投資信託もあります。

元本割れする可能性がある

投資信託は、円預金のように元本が保証されているわけではありません。運用のプロに任せられるといっても、投資に価値や価格の変動はつきものですから、購入時よりも売却時の基準価額が低ければ、損をしてしまう可能性があります。

投資のリスクについては、こちらの記事もご覧ください。
投資にはリスクがある!覚えておきたいリスクの種類と軽減方法

節税効果が少ない

投資信託がほかの投資と比べたときにやや見劣りする点として、「節税効果が少ない」ことがあります。例えば、不動産投資では、保有資産を現金から不動産にすることで、相続税の軽減といった効果が期待できます。また、経費を大幅に計上することも可能です。投資信託は、このような節税対策に利用することはできません。

ただし、私的年金と呼ばれる「iDeCo」を通じて投資信託を購入すれば、所得税や住民税の軽減につなげることができます。iDeCoでは、投資信託の購入に充てる金額が所得控除の対象になるため、節税対策として非常に効果的です。

また、NISAやつみたてNISAを利用すれば、通常、投資によって得た利益にかかる約20%の税金を削減することができます。

投資信託は主に2種類に分かれる

投資信託には、「インデックス型」と「アクティブ型」という、2つの運用方針があります。インデックス型は、市場の値動きに沿ったリターンを目指す運用方針、アクティブ型は、市場の値動き以上のリターンを目指す運用方針です。

インデックス型(パッシブ型)

投資信託の中には、日経平均株価やTOPIXといった指数の値動きに連動するような運用を目指すものがあります。これが、インデックス型です。この指数を「インデックス」と呼ぶことから、インデックス型と呼ばれます。
インデックス型には、連動している指数の推移を見ることで、リターンやリスクを判断しやすいというメリットがあります。また、投資先の情報収集や分析コストが低いことから、信託報酬も安めです。

一方、指数が下落すれば同じように価格が下落してしまうという問題点や、その場合のリスク回避がしづらいという難点もあります。

アクティブ型

日経平均株価やTOPIXといった指数を基準に、それ以上のリターンを目指す運用を行うのが、アクティブ型の投資信託です。主に、大きな成長が見込める投資先に投資を行う「グロース投資」と、割安の投資対象を見極めて投資する「バリュー投資」の2種類があります。

アクティブ型の運用では、市場の値動き以上のリターンが期待できます。インデックス型の運用では物足りない人にも適しているといえるでしょう。運用がうまくいけば、大きなリターンを得ることができます。
また、アクティブ運用の投資信託は、それぞれ特徴的な個性を持っているため、より自分の好みに合わせた投資信託選びができるというメリットもあります。反面、運用コストが高く、信託報酬や手数料がインデックス型の運用の投資信託よりも高めという難点もあります。

なお、アクティブ型の運用の場合、実際のリターン少なかったとしても、基準としている指数を上回れば「高評価」ということになります。そのため、実際の運用成績がマイナスだったとしても、評価が高くなっていることがあるので注意しましょう。

投資信託の始め方

投資信託を買う際には、事前準備をしておく必要があります。投資信託を始めるための手順を見ていきましょう。

1. 資産の運用方針について考える

投資信託を選ぶ前に、自分がどのような資産運用をしたいのか、運用方針を考えておきましょう。
運用方針とは、「いくらまで資産運用に使っていいか」「どのくらいのリターンを目指すのか」といったことです。
併せて、iDeCoやNISAを利用するのか、それとも特定口座等で取引を行うのかについても決めておきます。

2. 銀行や証券会社で口座を開設

投資信託を買うためには、そのための証券口座が必要です。銀行や証券会社で、口座を開設しましょう。
この手続きは、インターネット上からでも行うことができます。

3. 証券口座に投資資金を入金する

証券口座に、投資資金になるお金を入金します。入金は、振込などで可能です。
また、銀行の証券口座では、購入時に自動振替ができるところもあります。

4. 購入する投資信託を決める

投資先や運用方針、純資産額の推移、手数料などを参考に、購入する投資信託を決めましょう。投資信託は数が多いので、条件で絞り込みをしてから比較するのがおすすめです。

新生銀行のファンド検索では、投資対象や投資地域、累積リターン、リスクレベルなどを選択するだけで絞り込みができます。総合販売額ランキングでの並べ替えなどもできますから、投資信託を選ぶときの参考にしてください。

投資信託は初心者向きのメリットが多い

投資信託には、「運用をプロに任せられる」「少額から投資できる」「分散投資ができる」など、初心者向きのメリットがそろっています。元本保証ではないことやコストがかかることなど、デメリットもありますが、株式投資や不動産投資などに比べれば、投資信託は比較的ローリスクローリターンであるといえるでしょう。
NISAやiDeCoなど、投資信託をこれから始める人におすすめの制度も整備されていますから、ぜひ活用してみてください。


【監修者プロフィール】
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。

 

執筆者プロフィール

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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