投資にはリスクがある!覚えておきたいリスクの種類と軽減方法

投資にはリスクが付き物というのは、多くの人が共通して持っている認識でしょう。では、投資のリスクとは、具体的にどのようなことを指すのでしょう。また、どうして投資にはリスクが発生するのでしょうか。
今回は、投資のリスクについて解説します。

投資をするときのリスクとは?

株式や投資信託といった投資商品は、その時々で価格の変動が起こります。この価格変動幅が大きいと、大きく利益を生む反面、大きく損をすることもあります。これを「リスクが大きい商品」と呼ぶびます。

一方、定期預金などは、基本的に元本が保証されるため、損失が出ることはありません。利益がプラス・マイナスに振れることはなく、必ずプラスになりますから、元本割れしないという意味で「リスクはない」ということになります。ただし、定期預金も物価の上昇によって、実質的な価値が低減する「インフレリスク」があることは、知っておいてください。

リスクとリターンの関係

投資において、リスクとリターンはほぼ比例するといっていいでしょう。「ローリスクミドルリターン」といった売り文句で販売される投資商品もありますが、ほとんどの投資商品においては、リスクが低ければリターンは少なくなります。その反面、リスクが高ければ高いほど、リターンも大きくなります。

投資をするときに意識したい6つのリスク

投資には、大きく分けて6つのリスクがあります。自分が投資しようとしている商品は、次の6つのうち、どのリスクを持ったものなのか事前に把握しておきましょう。

1. 価格が変動するリスク

投資信託や株式などの価格は、随時移り変わります。保有している投資商品の価格が変わるということは、売却時に得られる金額も変わるということ。買ったときよりも売るときの価格が下がれば、それだけ大きな損失につながります。

2. 為替が変動するリスク

外貨に関連した投資を行う場合、為替レートの変動が大きな損失につながる可能性をはらんでいます。たとえ運用益が高くても、それ以上に為替レートが変動して円の価値が相対的に高くなった場合、円に換算するとまったく利益が出ないこともありえます。

3. 投資先の倒産リスク

株式や社債を購入後、当該の会社が倒産すると、利益を得るどころか株式や社債の価値はゼロとなってしまい、非常に大きな損失となる可能性も。そのため、投資先の財務状況などは随時チェックする必要があるでしょう。

4. 投資した国の信用リスク(カントリーリスク)

外国債や外国株で運用を行う場合、投資した国の信用が下落することで、投資商品の価値も下がることがあります。投資先の企業に関係なく、国や地域の経済や政治などに影響されることがあるので、紛争が多い地域や情勢が安定しない地域の企業に投資する際は、そういったカントリーリスクに留意してください。

5. 金利が変動するリスク

債券の価格は、金利変動の影響を受けます。一般的に、金利が高くなると債券価格は下落し、金利が下がると債券価格は高くなります。
債券は、購入した時点で将来のリターンが約束されているものですが、満期前の売買も可能。金利が高くなると、換金してほかの投資を行おうとする人が増えるため、債券の市場価格が下落するのです。

6. 流動性が低いことで起こるリスク

投資商品の中には、長期保有を原則としていて途中で換金ができない、あるいは、途中で換金すると大幅に元本割れしてしまう商品と、いつでも任意のタイミングで売却できる商品があります。長期保有が原則となる投資商品は、基本的に「流動性が低い」商品。流動性が低い投資商品しか保有していない場合、万が一のときに現金が必要でも、買い手が少ないために換金することができない可能性があります。

また、長期保有しているあいだに経済情勢が変わり、より良い条件の投資商品が登場する可能性も。そういった場合、流動性が低い投資の場合、低いリターンしか望めない投資を続けなければならなくなるかもしれません。

投資のリスクを減らす3つの方法

投資におけるリスクを軽減するためには、「分散」「長期」「積立」の3つの方法が役立ちます。ローリスクで長期的な資産形成を目指したい人は、この3つを意識してください。

1. 分散投資

ひとつの商品だけに多額の投資をすると、その投資商品に万が一のことがあったとき、大きく資産を減らすことになります。資産を複数の投資先に分散させることで、リスクを軽減できるでしょう。

2. 長期投資

デイトレードのような短期投資に比べ、長期的な投資は相場が万が一下落しても回復する時間を十分に持てるため、安定したリターンが得られる可能性が高いといわれています。老後資金のような将来のための資金づくりは、長期投資での形成がおすすめです。

3. 積立投資

一定金額で、タイミングをずらして購入し続ける手法を「ドルコスト平均法」と呼びます。投資商品は価格が変動しますが、ドルコスト平均法で例えば毎月決まった金額で購入を続けることで、平均購入単価をならしながら、安定的なリターンを期待しやすくなるでしょう。

投資商品を選ぶときはリスク許容度も考える

投資を行う際のリスク許容度(どれくらいまでの損失を許容できるか)は、人によって異なります。どの程度リスクをとれるかで選ぶべき投資商品も変わりますから、投資先を検討するときはまず、自分の年齢や貯蓄を踏まえたリスク許容度を考えてみましょう。

ただし、リスク許容度が高い人でも、ハイリスクハイリターンの投資商品のみで運用を行うのは危険。リスクが高い商品、低い商品を組み合わせてポートフォリオを組むことが、投資で大きな失敗をしないコツです。

「分散・長期・積立」の実践とリスク許容度を知ってうまく付き合おう

どのような商品を選んでも、投資をする上でのリスクを完全になくすことは難しいです。リスクを闇雲に恐れたり、無視したりするのではなく、リスクの正体を知り、「分散・長期・積立」といったリスクを軽減する方法を実践することが大切。また、自分が許容できるリスクについても考えておきましょう。


監修
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。

 

執筆者プロフィール

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