外貨預金の損益分岐点が重要な理由と計算方法は?
本記事は、SBI新生銀行からのお知らせです。
外貨預金は、頻繁に海外に行く方、海外居住経験がある方にとっては比較的身近なものと捉えられやすい投資商品ですが、円換算にすると損失を被ることがあることも事実です。外貨を保有する際には、損益を管理するために、「損益分岐点」を意識する必要があります。このコラムでは、損益分岐点について解説します。
目次
外貨預金と円預金の違い
同じ預金であっても、「円預金」と「外貨預金」には、決定的な違いがあります。
一般的な円普通預金や円定期預金であれば、解約時または満期時に受け取れる元金は、預入金額を下回ることはありません。また受け取れる利息も事前に決められた額が確実に受け取れます。元金も利息も決まった額を下回ることも上回ることもありません。
それに対して外貨預金は、円ベースで元金と利息の額が為替レートの変動によって増えたり減ったりします。また、預入時と満期時の為替レートが同じであったとしても、円を外貨に換えるときと外貨を円に戻すときにそれぞれ為替手数料がかかるので、その分元金が減ります。
このように外貨預金は、円預金と違い、為替手数料の負担がかかることとに加えて、為替レートの変動によって円ベースでは元金と受け取れる利息の額が確定しないのです。
「損益分岐点」とは何か?
損益分岐点とは、「損益が均衡する数値」のことを指すことが多いです。
企業や事業でいうと、収益と費用が相互に相殺し合い、ちょうど損失も利益もないゼロの状態になる売上高を指します。
また株式投資における損益分岐点とは、株式の購入価格や保有コスト、売却価格、手数料などを考慮し、損失と利益が相殺し合ってゼロとなる株価を指します。
外貨預金の損益分岐点はどのように算出する?
外貨の場合の損益分岐点とは、為替手数料、受取利息を含めて損も益も出ない為替レートのことをいいます。
外貨預金では通常、外国通貨で預金を行い、将来の為替レートの変動による為替差益や金利を得ることを目的とします。しかし為替レートは変動するため、為替相場の動向によっては元本が減少し、損失が発生する可能性もあります。
そのため、「結局、外貨がいくら以上の時に円に換えれば損が出ないのか」という外貨の円換算の価格を知っておく必要があります。その価格のことを損益分岐点といいます。
金利、手数料、為替レートについて説明
外貨預金では、利益にかかわるポイントが次の3つあります。
・金利
・手数料
・為替レート
それぞれについて説明していきます。
金利
外貨預金では、日本の銀行での円預金と同じように預けていると金利がつきます。2023年9月時点のSBI新生銀行の米ドル定期預金の年利は以下のとおりです。円預金と比べると、相当高い利率となっています。
(出典)SBI新生銀行 外貨定期預金より一部転載
※金利は年率・税引前表示、2023年9月5日現在。金利は変更となる場合があります。
※利息は源泉分離課税(国税15.315%、地方税5%)として課税されます。
SBI新生銀行の外貨預金の金利一覧について詳細はこちら
手数料
外貨預金を行う際に円で預け入れ・引き出しをする場合には、円をその外貨に換えるための為替手数料がかかります。基本的に為替手数料は取引時に買付レートに上乗せされ、売却レートからは引かれて計算されます。
SBI新生銀行の為替手数料について詳細はこちら
為替レート
為替レートとは、ある通貨を別の通貨に換算する際の交換比率を指します。為替レートは通常2つの通貨の間で表示され、たとえば、USD/JPY(米ドル/日本円)の為替レートは、1米ドルを何円で交換できるかを示します。この場合、為替レートが130円であれば、1米ドルを130円で購入することができます。
為替レートは一定ではなく、為替市場での需要と供給によって変動します。需要が高まると通貨の価値が上がり、為替レートも上昇します。逆に需要が低下すると通貨の価値が下がり、為替レートも低下します。1ドル=130円で外貨預金の取引をしたとすると、この為替レート以上であれば利益が生まれ、逆にこの為替レート以下であれば損失が発生することになります。
SBI新生銀行の為替レートについて詳細はこちら
損失の生じない為替レートを計算しておく
外貨預金を利用するときは、利息と為替手数料相当額を含めて、損失の生じない為替レート、つまり「損益分岐点となる為替レート(以下、損益分岐レート)」をあらかじめ計算して把握しておくとよいでしょう。特に利息は重要です。たとえば為替レートがわずかに円高になって元金に為替差損が生じたとします。しかし、税引後の受取利息額がその損失を上回れば、トータルでの収支は損失となりません。損益分岐レートは受取利息込みで損益が均衡する為替レートです。損益の管理のために、しっかりと把握しておく必要があります。
では、どのように損益分岐レートを計算するのかを、例を用いて説明しましょう。
(試算条件)※金利・為替レート・為替手数料は仮定の値です
・元本10万円、米ドル外貨定期預金(1年もの)に預入
・適用金利:年5.0%(税引前) 税引後=年3.984%*1
・為替手数料:1米ドルあたり15銭
・円を米ドルに換えるときの実勢為替レート=130.00円
*1利息は源泉分離課税(国税15.315%、地方税5%)が課税されます。
元本 | 100,000円 |
---|---|
税引前金利(年率) | 5% |
税引き後金利(年率)(*1) | 3.984% |
定期預金期間 | 1年 |
買付時為替レート(実勢) | 130円 |
為替手数料(1基本通貨あたり) | 0.15円 |
買付時為替レート(為替手数料込:TTS) | 130.15円 |
米ドル定期預金元本 | 768.34米ドル |
米ドル受取利息 | 30.61米ドル |
米ドル定期預金元利合計 | 798.95米ドル |
売却時損益分岐レート(為替手数料控除後:TTB) | 125.17円 |
為替手数料(1基本通貨あたり) | 0.15円 |
売却時損益分岐レート(実勢) | 125.32円 |
1年後の満期時の元利合計798.95米ドルに為替手数料控除後の損益分岐レート125.17円を乗じると、答えは100,004円になります。実勢の為替レートが125.32円以上の時に米ドルを売って円に換えれば、15銭の為替手数料を加味しても損が出ません。損益分岐レートは次のように計算します。 元本 (100,000円) ÷ 保有外貨(798.95米ドル) = 125.17円/米ドル。ここに為替手数料 0.15円/米ドルを足した = 125.32円/米ドル、が損益分岐レートとなります。
シミュレーターを使えばカンタンに計算できます
損益分岐レートはこのようにご自身で計算することもできますが、インターネットにある無料のシミュレーターを使う方法もあります。
たとえばSBI新生銀行のウェブサイトには、外貨預金の損益シミュレーターが掲載されています。各種条件を選択するだけで、簡単に損益分岐レートが算出できます。前項のような損益分岐レートの計算を自身でする必要はありませんので、ぜひ活用してみましょう。
損益分岐点を意識した外貨預金の使い方
外貨預金口座を開設する前に、外貨の為替レートを注視しましょう。為替レートが有利な時に外貨を購入することで、将来的な為替相場の変動による利益を狙うことができます。
また外貨預金には、長期預金と短期預金の選択肢があります。長期預金では、長いスパンで保有することで損益分岐点を下げられるため、為替相場の変動リスクを減らすことができます。一方、短期預金では、短期間での為替相場の変動による利益を狙うことができますが、為替相場の変動リスクも高まります。ご自身の投資目的やリスク許容度に応じて適切な選択を行い、上手く外貨預金を利用していきましょう。
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