外貨預金とは?その仕組みから始め方を解説
本記事は、SBI新生銀行からのお知らせです。
低金利が続く昨今、日本円で銀行にお金を預けていても、大きな利息は期待できないのが現状。そこで注目されているのが、日本円を米ドルなどの外国のお金に換えて預ける「外貨預金」です。
この記事では外貨預金の特徴から、メリット・デメリットや注意点など、これから始めたい人向けにわかりやすく紹介します。
目次
私たちを取り巻く環境
日本の経済は長い間物価が下落または停滞する状態にありましたが、2022年〜2023年にかけて物価は上昇しています。たとえば、2023年5月19日に総務省統計局から発表された消費者物価指数をみると、総合指数は3.5%、生鮮食品を除く総合指数は3.4%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数では4.1%の前年同月比上昇率をみせています。日本にもインフレが訪れはじめているということです。
また、日本は長く続く超低金利時代であり、1990年頃は年1.00%以上あった円の普通預金金利も現在は年0.001%(※)と大きく下落したままにあります。
※金利は年率・税引前表示
※2023年7月時点のSBI新生銀行のスタンダード、シルバー、ゴールドステージで預入金額1,000万円未満、またはプラチナで預入金額100万円未満の場合の円普通預金金利を参照
「物価は上がっているのに、預金ではお金が増えない」という状況は、預金者にとっては好ましくありません。円預金以外の、資産運用策を検討した方が良い時期だといえるかもしれません。
インフレが私たちに与える影響
インフレとはひとことで言うと「モノの値段が上がり続ける状態」のことです。例えば100円で買えていたものが200円になった場合、お金の価値は2分の1になったことになります。インフレが起こると円の価値が下がる、つまり、お金(現金)の価値が下がり、モノ(現物)の価値が上がることになります。2022年〜2023年にかけて、米ドル円相場では円安が進みました。円安のメリットは、輸出業や観光業の景気が良くなることが挙げられますが、一方、輸入品や海外旅行の費用が高くなるデメリットもあります。
超低金利
低金利が続いている日本の銀行預金では現金を預けていても利息がほとんど付きません。過去日本でも定期預金で年5%程度の金利が付く時代がありましたが、2023年の現在は年0.02%程度(※)がせいぜいです。企業や個人が金融機関から融資を受ける場合は、超低金利はメリットとなります。一方デメリットは、預貯金では資産を増やすことが難しいことです。
※金利は年率・税引前表示
※SBI新生銀行パワーフレックス円定期預金ダイヤモンドカテゴリー、預入額500万円以上、預入期間5年を参照
このような時代には、株式や外貨などを保有するとよいと言われています。今回はその中でも外貨預金に着目して解説していきます。
外貨預金とは?仕組みと日本円預金との違い
外貨預金とは、その名のとおり外国の通貨でおこなう預金です。多くの国内の銀行では外貨預金を取り扱っています。円を外貨に交換することで外貨を預け入れ、円に換えてから引き出したり、外貨のまま他の金融機関に送金したりもできます。金融機関によっては、手数料を支払うことで、外貨預金口座から外貨紙幣を引き出すサービスを提供している場合があります。しかし、日本国内では外貨で買い物ができる場所は限られるため、一般的には投資用、または海外留学や海外赴任のための資金を置いておく先として外貨預金を利用します。では、外貨預金は日本円の預金とどう違うのか、仕組みを解説します。
日本円を外国通貨に交換して預金し、日本円で払い戻す
日本円で銀行に預け入れ、日本円で払い戻すのが通常の円預金取引です。一方、外貨預金は日本円を外国通貨に交換して銀行に預け、外貨を日本円に交換して払い出すことが一般的です。日本円を預け、日本円で払い戻される仕組みだけを見ると、通常の円預金と同じですが、為替レートの変動によって預け入れ金額と払い戻し金額に差が生じるのが特徴です。この差額が利益にも損失にもなり得ます。
加えて、外貨預金の金利に応じて利益を得ることもできます。外貨には米ドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、イギリスポンド、ユーロなどがあり、通貨によって金利もさまざま。取引を行う銀行で取り扱いのある通貨の中から、自由に選んで預金することが可能です。
外貨預金を行う際のTTS、TTBとは?
外貨預金を通じて円を外貨に交換して預ける、あるいは外貨を円に交換して引き出すということは、円とほかの通貨との売買であり、すなわち外国為替取引が生じます。この異なる通貨の売買(交換)の比率を「為替レート」や「為替相場」と呼び、お金を預けるときと引き出すときで、以下2種類の呼び名が存在します。
・TTSレート
TTSとは「Telegraphic Transfer Selling rate」の略で、銀行が外貨を販売するときの売りレートを意味します。外貨預金を行う側から見ると「お金を預けるときの為替レート」です。
・TTBレート
TTBは「Telegraphic Transfer Buying rate」の略です。銀行が外貨を買い取る際の買いレートのことで、外貨預金を行う側から見れば、「預けていたお金を引き出すときの為替レート」です。
TTS、TTBのいずれも、各銀行が定める為替手数料を含めたレートです。例えば、米ドルが1ドル100円、為替手数料が片道1ドル1円だった場合、TTSは101円となり、100ドルの外貨預金をするなら、日本円で10,100円が必要。同条件でTTBは99円ですから、外貨預金100ドルを払い戻すと9,900円を受け取ることになります。
外貨預金をするなら知っておきたい「円高・円安」の関係
ニュースなどでよく聞く「円高」と「円安」ですが、外貨預金とも密接に関係していることはご存知でしょうか。円高と円安の関係について紹介します。
そもそも円高・円安って?
円高・円安は、ほかの通貨に対し、円の相対的価値が高いか低いかを表しています。米ドルが1ドル100円だった場合を基準として考えてみましょう。
預けた翌日に為替レートが変動して、1ドルが99円となったとします。前日から比べ99円と1円安く1ドルに交換できるわけですから、ドルが安くなり円が高くなった、すなわち「円高」ということです。
反対に、為替レートの変動により1ドルが101円となった場合には、1ドル交換するためには101円と1円多く支払わなければなりません。ドルが高くなって円が安くなった、つまり「円安」ということです。
外貨預金をするときは円高・円安どちらがいい?
では、外貨預金を運用するときは、円高・円安どちらのタイミングがいいのでしょうか。預入時の為替レートを、米ドルが1ドル100円だったとして考えてみましょう。
100円、つまりは1ドルを預金し、為替レートが変動して1ドル110円と円安になったタイミングで払い戻せば、10円の利益が得られます。反対に、1ドルが90円と円高となったときに払い戻すと、10円の損をすることになります。
これは、「円高のときに預金し、円安の時点で払い戻しを行う」と利益を得ることができるということ。ただし、実際の取引では、前述のように為替手数料が発生します。円安のときに払い戻した場合でも、為替レートの変動の幅や手数料によっては、預金した円の金額より減ってしまうこともあります。)
参考)外貨預金は今から始めていいの?預け入れと引き出しのタイミングを解説
外貨を保有する意義とは?
「日本に住み続けているので円だけで良いのでは?」「海外旅行もほとんど行かないので為替レートの変動はよくわからない」と思う方もいるかと思います。しかし、私たちは日本に居ながら日々の暮らしの中で、為替変動の影響を受け続けています。食料やエネルギーなど海外からの輸入に頼っているからです。
例えば、円安によって輸入品の価格が上昇した場合に、日本円資産しか保有していなければ、出ていくお金が増え家計を圧迫してしまいます。
このように不確定要素が多い今の時代、自分の資産を円預金以外の資産に分散しておくことはリスク回避の策になります。分散する資産の1つの選択肢として、外貨預金も入ってきます。
ここ数年は円安傾向にありました。(2020年3月には1米ドル105円だった為替レートが2022年10月には1米ドル151円をつけました)こうした時に、日本円だけを保有していると、海外の人から見た時に日本人の資産は約30%も下落していることになるのです。こうした実質的な資産価値の下落を避けるためにも、預金の一部を外貨で持つという選択肢があることは知っておきましょう。
外貨預金のメリットとは?
外貨預金の利益は為替レートの変動に左右されるため、必ずしも利益が出るわけではありません。では、どのようなメリットがあるのでしょうか。
為替レートの変動で円預金よりも利益が狙える
為替レートは日々変動しています。そのため、為替差益と呼ばれる利益が生まれる可能性があるのです。為替差益とは、円高のときに預け入れを行い、円安の時点で払い戻しをすることで得られる利益のことを指します。
為替レートは、国の経済成長率や消費者物価指数などで変動するため、成長率の高い国の通貨で外貨預金を始めることで、利益を得られる可能性が高まります。
IMF(国際通貨基金)が2022年に発表した「世界の実質GDP成長率 国別ランキング 」によると、日本の経済成長率は193ヵ国中158位でした。日本は経済成長に勢いがあるとはいえず、成長率著しい外国の為替レートの変動を狙い、外貨預金を行う人が増えているのです。
高金利の恩恵を受けられる
預金とは預けたお金を元本として、預けた期間に基づいた利息、つまり金利を受け取る仕組みです。外貨預金も同様で、預けた外貨を元本として利息が生じます。外貨はそれぞれの国により金利が異なるため、金利が高い通貨で長期間預金をしていれば、その分大きな利息が付くでしょう。
日本が金融緩和政策によって低金利が続いている中、外国通貨は相対的に金利が高く、長期的に運用することで大きな利益を受け取れる可能性もあります。高金利の恩恵を受けられるのも、外貨預金のメリットなのです。
外貨預金のデメリットとは?
一方で外貨預金は、円預金とは異なり為替変動のリスクがあるため、デメリットもあります。
為替レートの変動および手数料で元本割れする可能性がある
為替レートが変動するということは、良い影響ばかりではありません。選んだ通貨が円高に転じた場合は、金利が多くついたとしても、日本円に払い戻したときに損失が出てしまう可能性があるのです。
どの通貨を選ぶかは、為替レートの変動を予測することが必要となり、その国の経済や政策の状況を知っておくことも重要です。
また、外貨預金の際の手数料は為替レートに載せられて算出されます。利益の計算をする際は、為替レートだけでなく、手数料にも目を向けましょう。
確定申告が必要になる場合がある
外貨預金を始めたときに、忘れてはならないのが確定申告です。
外貨預金によって得た利益を「為替差益」、被った損失を「為替差損」といいます。円預金とは異なり、外貨預金の為替差益は税法上の雑所得となり、所得税、復興所得税、住民税などが課せられるため、確定申告と納税が必要です。
年収2,000万円以下の給与所得者であり、給与所得以外の為替差益が年間20万円以下の場合、確定申告の必要はないことになっています。ただ、為替差益が20万円を超える可能性は十分にあります。
「単利」と「複利」の商品があるなど仕組みが複雑
外貨預金の商品には、単利型、複利型の2つの預金形態があります。単利型とは元本にのみ金利が発生するもので、元本が増えなければ受け取れる利息は何年経っても変わりません。複利型は元本とその利息を合わせた金額に対して金利が生じるため、預ける期間が長ければ長いほど、利息が大きくなります。そのため、長期間の運用を考えているのであれば、複利型のほうが有利といえます。
預金保険制度の対象外
預金保険制度とは、銀行などの金融機関が万が一破綻してしまったときに、預金者1人あたりに元本1,000万円まで保護される制度です。外貨預金はこの預金保険制度の対象外となっています。複数の金融機関に分散して預金をしておくことで、1つの金融機関が万が一破綻した場合に、大半の資産を失ってしまうような事態を避けられます。金融機関の信用リスクが心配な人は、ひとつの金融機関に多額の外貨預金を行うのは避けたほうがいいでしょう。
外貨預金の注意点
外貨預金を始めるにあたって、失敗を避けるために心掛けるべきことをまとめました。
ひとつの通貨に限定して預け入れない
外貨預金を行う場合は、ひとつの通貨だけで預金するのではなく、複数の通貨に分散することがおすすめです。分散しておけば、いずれかの通貨で損失が出たとしても、ほかの通貨で補填できる可能性があります。
同じ時期にまとめて預けない
外貨預金は、円高のときに預け入れ、円安のタイミングで払い戻しをするのが理想です。しかし、為替相場の変動を読み切るのは非常に難しいものです。一度に大きな金額をまとめて預け入れるのではなく、何度かに分けて預けることで、レートの変動によるリスクを回避できる可能性があります。
長期的な運用を行う
外貨預金は短期間のうちに預け入れ、払い戻しを繰り返すと、そのたびに為替手数料が発生してしまいます。そのため、近いうちに使う予定のお金や生活資金などとは切り離した、余裕資金で長期的な運用を行ってください。
金融機関ごとに異なる手数料に注意する
為替手数料は、金融機関や通貨によって異なります。長期間の運用により大きな金利がついたり、為替差益を得られたりしても、払い戻す際の手数料が大きければ、利益を目減りさせてしまうことにもなりかねません。よく調べた上で比較・検討し、利用する金融機関を決めましょう。
通貨の種類や特徴
外貨預金で代表的なものは、アメリカドル(USD)、ユーロ(EUR)、イギリスポンド(GBP)、オーストラリアドル(AUD)等のほかに、ニュージーランドドル(NZD)、カナダドル(CAD)、スイスフラン(CHF)なども有名です。また、近年は投資先として新興国も注目されています。南アフリカランド(ZAR)やブラジルレアル(BRL)、中国人民元(CNY)などの外貨預金も金利面から人気が高まっています。ただし、新興国通貨は国の政治・経済が不安定であったり、ボラティリティが大きい傾向がありますので注意が必要です。今回は代表的な通貨の特徴について以下に挙げたいと思います。
米ドル (USD):
米ドルは世界最大の経済大国であるアメリカ合衆国の通貨です。世界の基軸通貨として流通しており、世界中の多くの国々で使用されています。また、多くの国が自国通貨の価値を米ドルに連動させていたり、米ドルをそのまま流通通貨として使用している国もあります。石油などの多くの商品は米ドルで取引されるため、国際通貨としての地位も強いです。
アメリカ合衆国の政治や経済の動向は世界の金融市場に大きな影響を与えます。そのため世界中が常に注目しており、非常に情報量も多く、はじめての外貨預金の取引として好まれています。
ユーロ (EUR):
ユーロはユーロ通貨圏、EU(欧州連合)加盟国27か国のうち20か国で流通しており、米ドルに次いで世界第2位の取引量を誇る第2の基軸通貨です。つまり、信用力の高い通貨として認められているということです。ユーロはヨーロッパの複数国が利用する通貨であるため、取引量が多く流動性のある通貨の一つなので、国際通貨としての地位も高いです。
英ポンド (GBP):
英ポンドはイギリスの通貨で、世界で最も古い通貨の一つです。過去、基軸通貨の地位を得ていました。国の経済規模とロンドンが世界的な金融中心地であることから、英ポンドは一定の存在感を保持しています。一方、現在の基軸通貨といわれている米ドルや欧州で広く使用されているユーロと比較すると、あくまでも1つの国の通貨であるという点において、利便性は気になるところです。
豪ドル(AUD):
オーストラリアは天然資源が豊富な国であり、鉱物資源(鉄鉱石、石炭など)や農産物(小麦、羊肉など)の大きな輸出国です。そのため、豪ドルは資源国通貨と呼ばれており、これらの価値は資源価格と密接に連動しています。よって、資源価格が上昇すると、豪ドルの価値も上昇する傾向があります。また、金利の高さも魅力のひとつともいわれています。
リスクはあるが、円預金よりも利益を狙うなら外貨預金も視野に入れよう
外貨預金の仕組みを正しく理解し、運用することで、高金利の恩恵や為替差益による利益を狙うことができます。ただ、預け入れる通貨の流通する国の経済状態によって、為替相場や金利の変化など価格変動のリスクもあります。
そのため、複数の通貨に分散して預け入れを行ったり、預け入れのタイミングをずらしたりしてリスクを抑えながら、運用していきましょう。
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