外貨預金とは?初心者にも分かる運用でのポイントも解説

本記事は、SBI新生銀行からのお知らせです。

外貨投資の代表格、「外貨預金」とは?

外貨に投資する金融商品としてすぐ頭に思い浮かぶのは「外貨預金」でしょう。銀行で扱っていて、親しみのある“預金”という名前であることなどから、耳にする機会も多いと思います。

外貨預金は、その名前のとおり外貨でする預金で、円の預金と同じように普通預金と定期預金があります。普通預金は満期がなく、いつでも預け入れや引き出しができます。定期預金は預け入れをいつでもできますが、引き出し(解約)は原則として満期時となり、満期までの期間は、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年、5年など銀行によって異なります。原則として中途解約はできないため、そのぶん金利が普通預金より高く設定されていることが多くなっています。

<外貨預金の種類>
普通預金 いつでも預け入れや引き出しが可能(満期がない)
定期預金 預け入れはいつでも可能。引き出し(解約)は原則として満期時のみまたは満期時以降

外貨定期預金と円定期預金の違いは?

外貨定期預金も円定期預金も、お金を預けることで、あらかじめ約束された金利がつくことや、満期を迎えると預けたお金を引き出せるという点は同じです。

外貨定期預金と円定期預金で大きく異なるのは、「金利」です。円定期預金に比べると、外貨定期預金は金利が高い傾向があります。

超低金利時代が続いているといわれている日本では、円定期預金に預けていても、金利が1%(年率・税引前)を超えることはもちろん、0.1%(年率・税引前)以上ということも稀です。一方で外貨定期預金だと、多くの場合、円定期預金よりも金利が高くなっています。通貨を発行している国の経済情勢により大きく変わりますが、金利が1%(年率・税引前)や2%(年率・税引前)を超える外貨定期預金商品も珍しくありません。

ただし、外貨定期預金は、円定期預金と違って、為替変動リスクや為替手数料の負担があります。外貨を円に戻す場合、「為替レート」によっては円換算ベースで元本割れとなる可能性があるので、注意が必要です。また、外貨預金は預金保険の保護の対象外なので、預けている金融機関が破綻したときに元本の保証がありません。

為替はなぜ変動するのか?

外貨投資は、「為替レート(=通貨の取引価格)」が動くことによって、為替差益を得られたり為替差損が生じたりします。では、何が為替レートを動かしているのでしょうか。

「為替レート」は、取引された通貨の売買価格

ニュースなどで「東京外国為替市場」という言葉を見聞きされたことがあると思います。主に金融機関などが通貨の取引を行う所ですが、市場といっても専用の取引所があるわけではありません。電話やコンピュータ回線などを通じて取引されるネットワーク市場なのです。
こうした外国為替市場は、東京のほか、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港、シドニーなどにもあり、世界のさまざまな通貨が、おおよそ常時、いつもどこかで取引されています。
そして「為替レート」とは、こうした外国為替市場において取引された通貨の売買価格を示します。

最新の為替レートはこちらから

売買価格の決定要因

為替レート、つまり通貨の売買価格の決定要因には様々なものがあります。
通貨の売買価格を決める要因として最もわかりやすいものが、「需要と供給のバランス」でしょう。これは通貨に限らず他の色々な商品も同様ですが、買いたい人が多ければ価格は上がり、売りたい人が多ければ価格は下がりやすくなります。

例えば、円を売って米ドルを買う取引が増えれば「円安・米ドル高」になりやすく、米ドルを売って円を買う取引が増えれば「円高・米ドル安」になる傾向があるといった具合です。

需要と供給のバランス以外にも、為替レートを動かす主な要因には次のようなものが挙げられます。

<為替レートに影響する主な要因>
貿易収支 投資収支 景気動向 金利 物価 市場心理

・「貿易収支」
日本企業が海外にモノを輸出して、代金として受け取った米ドルを円に換えるときには、米ドルを売り、円を買うことになります。この取引が多くなれば「円高・米ドル安」につながります。逆に、日本企業が海外からモノを輸入して、円を米ドルに換えて代金を支払う取引が多くなれば「円安・米ドル高」につながります。こうした動きを国全体で見たのが貿易収支です。

・「投資収支」
日本の投資家が米国の株や債券を買うためには、円を米ドルに換える必要があります。逆に米国の投資家が日本の株や債券を買うためには米ドルを円に換える必要があります。これを国全体でとらえたのが投資収支です。つまり株や債券が買われる国の通貨は上がりやすく、売られる国の通貨は下がりやすくなります。日本の株や債券が買われる場合は「円高」要因、日本の株や債券が売られる場合は「円安」要因となります。

・「景気動向」
景気が良いということは、経済活動が活発であるということを意味しますので、株価の値上がりを見込んでその国の株式市場に海外の投資家の資金が入ってくるなど、通貨高要因になります。一般的に、その国の景気動向を示す数値が予測より高ければ通貨高、低ければ通貨安となる傾向があります。

・「金利」
外貨預金の魅力のひとつは相対的に金利が高いことです。日本では低金利が続いていますので、たとえば相対的に金利の高い国の通貨で預金をすれば、円預金よりも高い金利が外貨建てで受取れます(*1)。このように低金利の円を売って金利の高い国の通貨を買う取引が増えれば円安要因となる可能性が高いです。つまり、金利の低い国の通貨は売られやすく、金利の高い国の通貨は買われやすいということになります。
(*1 為替レートの変動によっては高い金利がそのまま収益となる訳ではなく損失が出る可能性もあることにも注意が必要です)

・「物価」
物価上昇率は、金利に影響します。各国の中央銀行は、国内の物価上昇率が高まってくると金利を上げる傾向があります。金利が上がると預金をする人が増えたり、企業が借り入れを手控えることで経済のお金の流れが悪くなったり、物価上昇を抑える効果があるといわれています。このように物価上昇率が高いと金利が高くなり、それが通貨高につながることがあります。

ただ、物価上昇に伴う金利高は、時に通貨高にならない場合もあります。
物価が上昇するということはモノの価値が上がり通貨の価値が下がっているということです。このような観点から、長期的に、物価上昇率が高い新興国等では、物価高・金利高・通貨安という現象が起きることがめずらしくありません。

・「市場心理」
為替レートは、投資家による通貨の売買によって利益を得ようとする取引の影響をかなり受けます。そのため、上がったから買う、下がったから売るというように為替レートの動き自体が買いや売りにつながったり、特段の理由もなく乱高下したり、何かの情報でパニック売りが起こって大きく下落したりするといったこともあります。

予測は困難なので長期スタンスで

為替レートはこうしたさまざまな要因が複雑に絡み合って動くため、「○○だから上がる(下がる)」というセオリー通りにいかないことが多くあります。
そのため個人投資家が外貨投資をするにあたっては、短期的な為替レートに左右されずに長期的なスタンスで臨むのがよいでしょう。

外国通貨のそれぞれの特徴

外貨投資に臨む際には、為替レートに影響する要因をニュースなどでチェックするようにしましょう。世界経済の動向に知識が深まると、長期的なトレンドを把握しやすくなります。
ここでは、主な外貨の特徴を表にしました。

<各国通貨の主な特徴>
通貨 特徴
米ドル アメリカ合衆国 ・世界中で最も広く使われている ・他の通貨と比較して為替相場の値動きが安定しているため、為替差による損失を抑えたい人向き ・日々のニュースで経済情勢をチェックできるため、初心者でも相場を把握しやすい
ユーロ 欧州連合(EU) ・米ドルに次いで取引量が多い ・欧州で広く使われている通貨のため、米ドルに加え他の外貨も保有したい、という人にとっては有力な選択肢になる
豪ドル オーストラリア ・為替が鉱物資源や農産物などの資源価格に影響を受けやすい ・先進国通貨の中では金利が高い傾向がある ・米ドルやユーロに比べて為替相場が変動しやすい
NZドル ニュージーランド ・乳製品や食肉等の動向に影響を受けやすい ・豪ドル同様、先進国通貨の中では金利が高い傾向がある ・世界経済の動向によって為替が大きく変動しやすい

参考)SBI新生銀行の各国の外貨預金金利一覧

初心者が外貨預金で資産運用するときのポイント

外貨預金は、銀行に口座を開設することで、すぐに始めることができます。そこで、初心者が外貨預金を始めるときのポイントを紹介します。

参考)外貨預金は今から始めていいの?預け入れと引き出しのタイミングを解説

外貨普通預金と外貨定期預金を使い分ける

まずは、「外貨普通預金」と「外貨定期預金」の2つを使い分けましょう。外貨普通預金は預け入れや解約がいつでもできますが、外貨定期預金は預け入れ期間が決まっていて、解約できるのは原則として満期のときのみです。

同じ通貨なら、外貨普通預金より外貨定期預金のほうが金利が高く、定期預金は満期までの期間が長いほど金利が高いのが一般的です。そのため、外貨預金を使って利息を得ることが目的の際は、外貨定期預金を使うのがおすすめです。外貨普通預金は、外貨定期預金の満期を迎えた後などに、円に交換するタイミングを見計らっている時期などの外貨の預け先として活用できます。

ただ、金利がそれほど高くない国の通貨だと、外貨普通預金と外貨定期預金の金利の差があまりないケースもあります。

外貨普通預金で為替差益をねらう

外貨普通預金はいつでも解約できるので、為替レートをチェックしながら預け入れたときより円安になったときに解約して為替差益を得る、という使い方ができます。

たとえば、「1米ドル=100円」のときに100万円を米ドルに交換したら、1万米ドルになります。もし1ヵ月後に「1米ドル=110円」になった場合、1万米ドルを日本円に戻すことで110万円(=10万円の為替差益を得る)になります。(ここでは手数料や税金は考慮していません)

ただし、外貨預金は預け入れる(円を外貨に換える)ときと、解約する(外貨を円に戻す)
ときに為替の手数料がかかるので、為替手数料の安い金融機関を選ぶことが大切です。

外貨定期預金の期間は“金利”で決める

外貨定期預金で預け入れる期間を決める際は、金利の「高さ」と「動向」の両方に目を向けて、判断しましょう。

外貨定期預金は、一般的に預け入れ期間が長くなると金利が高くなる傾向があり、外貨定期預金の金利は、満期まで預け入れ時の金利が適用されます。
そのため、将来的にこれから金利が上昇しそうなときは期間を短く、金利が下がっていきそうなときは期間を長くするのがよいでしょう。

金利が上がりそうなときに期間の長い定期預金に預け入れると、途中で金利が上がっても預け入れたときの低い金利が満期まで適用されてしまいます。反対に、これから金利が下がりそうなら、期間を長くしておけば途中で金利が下がっても預け入れたときの高い金利が長いあいだ適用されます。

過去の水準と比べて金利が低い時期は、これから金利が上昇する可能性を考えて、1ヵ月や3ヵ月などの短いものを自動継続していくとよいかもしれません。

“預金”でもマイナスになることがあると認識する

外貨預金で気をつけたいのは、“預金”という名前はついているけれど、為替変動によって円換算ベースで元本割れする可能性があるということです。

円の預金は元本が保証されていて、解約したときの金額が預けたときより少なくなることはありません。外貨預金も、外貨ベースでは円の預金と同じです。ただし、預け入れたときと解約したときの為替レートによっては、解約して外貨を円に戻したときに、預け入れたときの円の金額より少なくなることがあります(逆に、為替レートによって利息のほかに為替差益が得られることもあります)。

元本割れの可能性も考慮したうえで、今後予定しているライフプラン等に悪い影響がでないよう、無理のない金額だけを預けることが大切です。


また為替レートの変動のほか為替手数料の負担によって元本割れとなる場合があります。このように、 外貨預金は円の預金とは大きく異なります。それをしっかり頭に入れた上で利用してください。

外貨預金かんたん損益シミュレーションを活用すると元本割れにならない為替レートの目安を自動で計算することができます。

外貨預金をはじめる際に押さえておきたい3つの方法論

外貨預金は、為替変動や利息によって利益を得られることもありますが、反対に為替変動や為替手数料によって損失が出てしまうことがあります。できるだけ失敗を避けるためには、リスクをコントロールすることが大切です。リスクを小さくする方法を3つ紹介します。

通貨の分散

まず1つ目は、預ける「通貨」を複数種類に分ける方法です。全額を1つの通貨で持つと、その通貨が下落した場合、大きな損失が出てしまうことになります。そこで、あらかじめ投資する通貨を複数に分けておきます。すると、1つの通貨の価値が下がっても、ほかの通貨の価値が下がっていなければ、預けたお金全体の損失は小さく抑えることができます。

時間の分散

2つ目は、預ける「時間(=タイミング)」を分けて投資する方法です。為替差による利益を得るためには、円の価値が高い時(=円高)に外貨に交換し、円の価値が低い時(=円安)に円に戻せると理想的です。しかし、為替相場の変化を予想することは、たとえ金融のプロであっても難しいものです。
そこで、投資資金(円)を1回で全額外貨に交換するのではなく、時間をかけて複数回に分けて交換するようにします。すると、さまざまなタイミングで交換することになるので、平均すると為替差によるリスクを抑えることができる可能性があります。

余裕資金を投資する

3つ目は、投資全般に共通することですが、近いうちに使う予定が決まっているお金は預けず、余裕資金を使って外貨預金を始めることです。

お金を使う時期が来たら外貨を円に戻す必要がありますが、投資期間が短いと、円に戻す良いタイミング(=円安)が来ないことがあります。そこで、中長期的に運用できるお金だけを外貨預金に預けることで、為替相場が良い時期を落ち着いて待つことができます。

ただし、中長期的に運用しても円安のタイミングが来ない可能性もあります。このように、外貨預金は“預金”と名前がついていますが、リスクを伴う投資商品です。利益がでることも損失がでることもありますので、預け方を工夫しながら取り組みましょう。

SBI新生銀行ではお客さまの運用プランに合わせた豊富な外貨商品をご用意しています。
本記事で紹介したポイントを踏まえて、初心者の方でも外貨預金の運用をはじめてみてはいかがでしょうか?

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執筆者プロフィール

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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