【ソロ活のススメ vol.1】一人しゃぶしゃぶ専門店に行ってみた!
一人飯、一人アミューズメントパークなど、数年前から注目を集めている「ソロ活(ソロ活動)」。思い立ったときに、自分の好きな場所で、自分一人だけの時間を過ごすことができるため、年齢や性別を問わずソロ活を楽しむ人が増えています。
一人の時間をじっくり過ごせるというソロ活とは、いったいどのようなものなのでしょうか。その魅力や実情を調査するシリーズ「ソロ活のススメ」第1回では、「一人しゃぶしゃぶ」を体験レポートします。
一人しゃぶしゃぶの利用者は女性も急増
「しゃぶしゃぶ」「すき焼き」と聞くと、大勢で鍋を囲みながら食べるイメージがあります。しかし、最近はその概念が覆され、一人でも鍋料理を楽しめるお店が増えています。
東京・新宿区にある、「ひとりしゃぶしゃぶ いち」が提案するのは、しゃぶしゃぶを一人で食べるスタイル。店内には回転寿司店のようなレーンが設置され、お肉やお野菜が回りながら運ばれます。さらに、カウンター形式のテーブルには、隣の席とのあいだに仕切り板も。
従来のしゃぶしゃぶ店とは異なるスタイルをとっているのには、理由があるといいます。
回転レールにのって食材が運ばれてくる。
「当店は、2019年10月に一人しゃぶしゃぶのお店としてオープンしました。一人一鍋一皿ずつというスタイルだからこそ、一人ひとりのお客さまへの心づくしができるのではないかと考えています」
(ひとりしゃぶしゃぶ いち 広報・仲田彩花さん)
実際の利用者の傾向について伺いました。
「新宿という土地柄もあって、男性の割合のほうが多い印象です。2020年6月のリニューアルオープン後に席と席のあいだに可動式の仕切りを設置したことによって、 よりプライベート感が増したせいか、女性一人でいらっしゃる人も増えています」
ひとりしゃぶしゃぶ いち、広報の仲田彩花さん。
一人だからこそできる自己流カスタマイズ
周りの目を気にせず、気軽にしゃぶしゃぶを楽しむことができるための配慮は、ほかにもあります。それが、タブレットを使ったタッチパネル注文です。
出汁やドリンク、肉、野菜以外の一品料理は、店員を介することなくすべて入店時に渡されるタブレットで注文を行います。お目当ての肉や野菜がレーン上にない場合、タブレットから簡単に追加注文ができます。
「このような形でご注文いただくことで、お店側としても売れ筋の商品や在庫管理を細かく把握することができるんです。それによって、食品ロスの減少につながるなど、環境のことを考えた運営ができるようになりました」
聞けば聞くほど興味を引かれる一人しゃぶしゃぶを、さっそく体験してみましょう。
まず、8種類の出汁から2種類を選びます。お店で人気だという「焼きあご出汁」と「『いち』特製いち辛出汁」を選択しました。タブレットで注文すると、すぐにレーンにのって運ばれてきました。
レーンにのっている食材は、ドーム状のカバーを被せて衛生管理されているだけでなく、ドームの蓋にドライアイスを入れて冷気を送ることにより、鮮度が保たれているので安心です。
気になる品質についても、食材についている札をカウンターに設置されたプレートに置けば自動で認識され、タブレットに商品情報と価格が表示される仕組みになっています。
食材についている札を並べて置けば、何を食べたかも一目瞭然。
お肉は、牛、豚、ラム、鶏、鴨がラインナップ。出汁を加熱しているあいだに、人気の「和牛芯ロース」「自家製鶏つくね」「イベリコ豚肩ロース」をレーンから取り、栄養のバランスを考え、「野菜盛り」を注文しました。
大人数で鍋を食べる場合、周りの意見も聞きながら食材を選ばなければいけなかったり、食材が決められたコース設定になっていたりすることも多いもの。自分の好きな物を誰にも気兼ねなく選べることに、うれしさを感じました。
さっそく実食!一人しゃぶしゃぶは、うま楽しい
経験したことのないシステムに驚きと感動を感じていると、出汁がいい具合に温まってきたのでいよいよ実食です。まずは、和牛芯ロースを焼きあご出汁でしゃぶしゃぶしてから口に運びます。
しっかりとした肉の旨みと出汁の味わいが口いっぱいに広がりました。
それもそのはず、「ひとりしゃぶしゃぶ いち」で提供しているお肉は、食べ放題などにありがちな薄いスライスではなく、旨みや食感が味わえるように、
あえて厚め。いろいろな種類が楽しめるよう、お肉の大半は1皿30gに設定されているのです。
鶏つくねを丸めて鍋に入れ、イベリコ豚肩ロースなどを2種類の出汁で堪能した後は、「牛もも」を追加注文しました。 最初は、「一人でしゃぶしゃぶを食べて楽しめるのだろうか?」と思っていたのですが、気付けば「次はどのお肉をどっちの出汁でしゃぶしゃぶしよう?」と心の中で会話したりして、楽しんでいる自分がいました。
そして、何より自分のペースで食べられるのが快適です。
一人だけどまったく寂しくない。むしろ、一人だから楽しい。そう感じられるのは、隣の席とのあいだに仕切りがあることによって、よりプライベート感と安心感があることも大いに影響していると思います。
また、一人だからこそ自由なアレンジ方法を楽しめることも大きなポイントです。
例えば、塩とんこつ出汁にシメの中華麺を合わせれば、とんこつラーメンに。飲んだ後、ラーメンを食べたいけどラーメン店の1杯だと多すぎる…といったときにはぴったりのカスタマイズです。
ほかにも、特製の辛出汁に一品料理の肉味噌豆腐を合わせると、まるで麻婆豆腐のような味わいに。こんな風に、いろいろな食材を組み合わせて、自分だけのカスタマイズを楽しめるのも、一人だからこその醍醐味でしょう。
周りの目を気にせず安心して過ごせる一人時間
今回いただいた料理は、合計1,550円(税抜)。この満足感でこの金額は、かなりのお値打ち感があります。ランチタイムには3種で計60gのお肉が味わえる「特選3種盛り」が登場するのに加え、 シメの白米・中華麺・平うどんが無料。ディナータイムには「日替わりブランド牛(40g)」や飲み放題、食べ放題といった、お得なプランがあるのも見逃せません。
会計は、タッチパネルを持っていけば精算ができる。
こうしたメニューに対するこだわり以外に、実はひそかにうれしかったのが、お店の椅子の造りでした。特に女性の場合、飲食店に一人で入ると荷物の置き場に困ったりするもの。 ですが、店内の椅子には、座席の後ろにスペースがあり、そこに荷物を置くことができるので、安心かつ清潔。背もたれは、長傘や上着が掛けやすい設計になっていることにも、お客さまに対する細やかな心遣いが感じられました。
飲食店の中でも、特に一人で行くにはハードルが高いと思われるしゃぶしゃぶ。しかし、一人しゃぶしゃぶは、大勢での会食が制限される中でも鍋を食べたい人、1つの鍋を大人数で囲むのは抵抗を感じる人、 一人での食事は気恥ずかしいと思う人にとっても、おすすめのスタイルでしょう。
新しい生活様式に移行しつつある今、人々に求められているのは、安心して一人の時間を過ごせる飲食店の存在なのかもしれません。食事に対する楽しみ方の概念が大きく変わる「一人しゃぶしゃぶ」。ソロ活に挑戦してみたい、という人は試してみてはいかがでしょうか?
※2020年8月に取材しました
<ソロ活評価表>
難度 | ★☆☆ |
孤独感 | ほぼゼロ |
ストレス発散度 | ★★☆ |
目からウロコ度 | ★★★ |
充実度 | ★★★ |
<お店プロフィール>
ひとりしゃぶしゃぶ いち
2019年10月にオープン後、新しい生活様式に対応した店舗スタイルとして2020年6月にリニューアル。辛みのある出汁からすき焼きまで8種類の出汁と、多彩な鍋食材を回転寿司スタイルで楽しめる、一人鍋専門店。 豚ロース250円、黒毛和牛 芯ロース350円(税抜)など。
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