ハーブで安全に虫よけしよう!おすすめハーブ9選
ハーブには天然の虫よけ効果があることをご存じですか?気温の高い季節になると、多くの人が悩まされるのが害虫の存在です。洗濯物を干していて蚊に刺されたり、きちんと掃除していてもハエやゴキブリが発生したり…。しかし、市販の虫よけの薬剤には化学物質が含まれている場合があり、子供やペットがいる家庭、肌の弱い人などは、使うのが不安なこともあるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、ハーブを使った虫よけです。今回は、虫よけに効果があるハーブと、ハーブを活用する方法をご紹介します。
ハーブが虫よけになる理由
ハーブの香りは、料理のスパイスとして使われたり、成分を抽出してアロマオイルに加工されたりと、さまざまな形で使われています。しかし、人間には心地良い香りでも、虫にとってもそうとは限りません。
ハーブには天然の芳香成分があり、虫や鳥などに食べられるのを防いだり(忌避効果)、反対に虫や鳥を呼び寄せて受粉や種の運搬を助けたりと(誘因効果)、ハーブ自身の抗菌・防カビなどに利用していると考えられます。
市販の虫よけに含まれる化学物質が、必ず体に悪いわけというわけではありませんが、子供は使わないほうがいいものや、ペットに害になる可能性があるものもあります。ハーブの虫の忌避効果は天然成分によるものですから、体への負担はほぼないといえるでしょう。「市販の虫よけは独特の香りが苦手」という人もいますが、ハーブはアロマに利用されることがありますから、虫よけをしつつ、心地良い香りでリラックスしたりリフレッシュしたりすることもできます。
ただし、ハーブはあくまで虫を近づけない効果が期待できるだけで、殺虫効果はないことにご注意ください。
虫よけ効果のあるハーブ9選
すべてのハーブに忌避効果があるわけではありません。また、ハーブによって効果のある虫も異なります。続いては、虫よけ効果のあるハーブと、効果のある虫について見ていきましょう。
シトロネラ
効果がある虫:蚊、ハエ、ゴキブリ、ダニ、ノミなど
シトロネラは、インドが原産のススキに似たハーブです。和名はコウスイガヤ(香水茅)といい、レモンのような爽やかな香りが特徴。東南アジアでは蚊帳に編み込まれるなどして、古くから虫よけに利用されてきました。シトロネロール、シトロネラールといった虫の忌避成分が含まれています。
ただし、シトロネラには、ハチを誘引する効果があるとされるため、利用する場合はハチを忌避する効果のあるハーブと組み合わせるといいでしょう。また、猫に対しては中毒性があるため、猫を飼っている家庭では注意してください。
センテッドゼラニウム
効果がある虫:蚊、ハエ、ダニ
センテッドゼラニウムは、280種類以上あるゼラニウムの中でも、特に葉の香りが強く、ハーブとして使われている種類を指します。花を楽しむためにゼラニウムを育てている人も多いですが、センテッドゼラニウムにはあまり花はつきません。置くだけで虫の侵入を防ぐとされ、ヨーロッパでは窓辺に飾るハーブとして親しまれてきました。
センテッドゼラニウムには、テルピネオールやシトロネロールといった虫の忌避成分が含まれています。
タイム
効果がある虫:蚊、ハエ、ゴキブリ、ムカデ、ナメクジ
タイムは、防虫効果だけでなく殺菌や防腐の効果があり、古代エジプトではミイラづくりの際に、防腐剤や保存剤として使われていたそうです。園芸用としても食用としても人気のハーブで、さまざまな種類がありますが、日本で見られるのはコモンタイムという種類が多いです。
タイムにはチモールやリナロールといった虫の忌避成分が含まれています。
ニーム
効果がある虫:ハエ、蛾、アリ、ゴキブリ、シロアリ
ニームはインドセンダンとも呼ばれ、インドでは「神が与えてくれた最初の木」などと呼ばれ、崇められているそうです。最近では薬効の高さから、「奇跡の木」などと呼ばれることもあります。
ニームに含まれるアザディラクチンという成分が虫の忌避効果を発揮します。また、アザディラクチンは土壌改良効果もあることから、園芸のコンパニオンプランツとしても人気があります。インドでは、害虫よけと土壌改良のために、畑の近くにニームの葉を入れて耕すこともあるそうです。
ペパーミント
効果がある虫:蚊、ダニ、アリ、ゴキブリ、ハチ
清涼感のある香りのペパーミントは、ミントティーやスイーツの飾りなどとしてもよく利用されています。ペパーミントに含まれるメントールという成分に虫よけの効果があり、衣類の防虫剤としても効果的です。室内に置くことで消臭効果も期待できるため、虫に入ってきてほしくない窓辺などにペパーミントを飾るのもおすすめです。
ユーカリ
効果がある虫:蚊、ハエ、ダニ、ハチ
コアラが好む植物として有名なユーカリに、シネオール(ユーカリプトールともいわれる)というハッカに似た香り成分があり、虫をよせつけない効果があります。原産国のオーストラリアでは、原住民のアボリジニがユーカリを虫よけとして使っているとのこと。ユーカリにはさまざまな種類がありますが、虫よけ効果を期待するなら「レモンユーカリ」がおすすめです。
ラベンダー
効果がある虫:蚊、蛾、ゴキブリ
リラックス効果のハーブとしてよく知られるラベンダーは、ヨーロッパで古くから防虫効果のある植物としても使われてきました。ラベンダーにはリナロールという虫よけ成分が含まれ、市販の防虫剤などにも配合されています。
ただし、リナロールにはダニを誘引する効果があるとされています。虫よけ効果を狙う場合はセンテッドゼラニウムやペパーミントなど、ダニを忌避する作用のあるハーブと併せて使うことをおすすめします。
レモングラス
効果がある虫:蚊、ハエ、ノミ、ゴキブリ、ダニ
レモングラスは、レモンのような香りがするハーブです。シトロネラと見た目も香りも似ていますが、レモングラスはシトロネラより小さめで、香りもより癖がないのが特徴。ハーブティーなどでも好まれており、エスニック料理では欠かせないハーブのひとつです。
シトラールやシトロネラールといった芳香成分を含み、虫の忌避効果があるとされます。
ローズマリー
効果がある虫:蚊、ハエ、ハチ、ゴキブリ
ローズマリーは香りが強いハーブで、料理の風味付けやくさみ消しなどに広く使われるほか、香水の成分としても利用されてきました。古代ギリシャでローズマリーは記憶や思い出の象徴とされ、学生がローズマリーの枝葉を髪に挿して勉強したという逸話も残っています。
ローズマリーにはカンファ―という虫よけ成分が含まれ、カンファ―は日本で昔から防虫剤として使われている「樟脳(しょうのう)」と同じ成分です。
ハーブを虫よけに使うポイント
ハーブを虫よけに使う方法として、虫よけしたい場所で栽培する方法があります。ハーブを栽培することで、世話を楽しんだり、料理やお茶に利用できたりするメリットもあります。しかし、センテッドゼラニウムやユーカリなどを除き、多くのハーブはただ植えているだけでは、あまり虫よけの効果は強くありません。
ハーブは葉をこすったり摘み取ったりすることで香りが強くなり、虫よけ効果を発揮します。香りが弱くなると虫の忌避効果も弱くなりますので、定期的に剪定しましょう。虫よけに利用するには、葉や花を摘んでブーケにしたり、花瓶に生けたり、ドライハーブにして楽しむことがおすすめです。
そのほか、ハーブを煮出して水で薄め、スプレー容器などに入れて虫よけスプレーを作ることも可能です。面倒なときは、植えているハーブの葉をこすったり折ったりするだけでも、香りが強くなって虫よけ効果を発揮してくれます。
ハーブで楽しみながら安全に虫よけしよう
ハーブの香りを使った虫よけは、化学成分が気になる人におすすめです。虫が気になる場所で栽培すれば、植物を世話したり、天然の香りを楽しんだりしながら、安全に虫よけをすることができます。
ハーブを生けたりブーケにしたりすれば、インテリアとしても楽しめるでしょう。対策したい虫や好みの香り、利用する料理などに合わせ、ハーブを活用してみてください。
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