債券投資とは?債券の選び方からメリット・デメリットまで徹底解説

本記事は、SBI新生銀行からのお知らせです。

比較的リスクの低い投資として人気を集める債券投資。とはいえ、投資であるため、メリット・デメリットや、リスクを事前に把握しておくことが大切です。
そこで今回は、債券投資について特徴を踏まえて、メリット・デメリットや注意しておきたいリスクなどを解説していきます。

債券投資は有価証券に資金を投下する投資方法

債券投資とは、国や地方自治体、民間企業などが発行する有価証券の債券を購入する投資方法です。債券を発行する発行体にとっては資金調達方法のひとつで、発行体は債券の期限である償還日に、額面金額を投資家へ返済することが決められているほか、保有中は一定期間ごとに利息を受け取ることができます。
なお、債券にはさまざまな種類があり、金利や償還までの期間も債券によって異なります。

債券投資と株式投資の違い

似たような投資方法に株式投資がありますが、債券投資とは次のような違いがあります。

■債券投資と株式投資の主な違い
債券投資 株式投資
資金の扱い 貸与 出資
投資家の位置付け 貸主 株主
元本保証 あり なし
利益率 購入時の金利に準ずる 企業の価値に応じて
主な収益 インカムゲイン(利息) キャピタルゲイン(売却益)
損失のリスク 原則なし あり

・投資した資金の扱い
債券投資は、発行体が投資家からお金を借りる形の資金調達方法です。そのため、借用書代わりに債券を発行して、額面上の金額の返済を保証します。一方、株式投資は投資家が株の購入を通して企業に出資する形のため、企業側に元本を保証する義務はありません。

・投資家の位置付け
株式投資は投資家が株主となり、持分に応じて経営参加権や議決権などを有し、事業に関与することができます。一方、債券投資は債権者となりますが、資金を貸与するだけで経営参加することはできません。
・投資家の利益
債券投資では、保有しているあいだは、一定期間ごとに利息を受け取ることができます。このような利息による収益をインカムゲインといい、債券投資の主な利益となります。対して株式投資は、株式の売却益であるキャピタルゲインが投資家の主な利益です。
ただし、債券投資でも売却してキャピタルゲインを得られることができますし、株式投資でも配当金や株主優待などのインカムゲインを得られる場合があります。

・損失のリスク
債券投資は貸与となるため、発行体が債務不履行(デフォルト)などに陥らない限りは、元本割れを起こすリスクがありません。一方、株式投資は企業の価値などによって株価が変動するので、損失を被る場合があります。

債券投資の種類と購入方法

債券投資は、発行元や通貨によってさまざまな種類があります。選ぶ債券や購入方法によって金利やリスクの高さなども異なるため、購入前に理解しておくことが重要です。

債件の種類

債券には、日本国内の発行体が円建てで発行する「国内債券」と、発行体や発行市場、通貨のいずれかが海外の「外国債券」があります。また、その中でも発行体によって、さまざまな種類に分かれています。
<国内債券>
・公共債
公共債は公的機関などが、主に財源の不足を補うために発行する債券です。国が発行する「国債」、地方公共団体が発行する「地方債」、公団や公庫といった政府関連機関が発行する「特別債」、地方公共団体が設立した公社の発行する「地方公社債」などがあります。

・民間債
民間債は大手企業などの民間企業が発行する債券です。企業が発行する「社債(事業債)」などが該当します。

<外国債券>
・外貨建債券
外貨建債券は、元本の払い込みから償還まで、すべてが外貨で行われる債券です。外国の公的機関や国際機関、国内外の民間企業などが発行しています。外貨がベースのため、為替相場の影響を受ける為替リスクが生じることがあります。

・円貨建債券
円貨建債券は、発行体や発行市場は外貨建債券と同様ながら、元本の払い込みから償還まで、すべてが日本円で行われる債券です。日本円がベースなので為替リスクはありません。

・二重通貨建債
二重通貨建債は、利払いは円で、償還のみ外貨など、利払いと償還を2種類の通貨で行う債券です。元本の払い込みと利払いが同じ通貨、償還が別の通貨の場合は「デュアルカレンシー債」、元本の払い込みと償還が同一通貨、利払いが別の通貨の場合は「リバースデュアルカレンシー債」とも呼ばれます。外貨建ての部分は、為替変動の影響を受けます。

債券の購入方法

債券の購入方法は、主に証券会社や発行体から直接買う方法と、債券型投資信託として購入する方法の2つがあります。

証券会社などから購入する場合、まずは欲しい債券と購入口数を決め、取り扱っている金融機関の口座を開設して元本分の資金を提供します。なお、償還金の受け取りなどもすべてこの口座で行います。

債券型投資信託は、運用会社に資金を預けて運用を任せる方法なので、債券の銘柄を選ぶ必要はありません。運用会社は複数の債券に分散して投資するため、債務不履行などがあった場合のリスクを軽減できます。また、複数の投資家から預かった資金をまとめて運用するので、個人では購入しにくい銘柄に投資できることがあります。

債券投資で利益を出すには?

債券投資は、保有期間中に金利に応じた利息が得られますが、満期日を迎える前に売却して、キャピタルゲインを得ることもできます。

債券の売却は二次市場とも呼ばれる流通市場で取引を行います。売却価格は市場金利に影響を受け、市場金利が債券の金利よりも高いときは債券の価値が下がり、反対に市場金利が低くなると価値が上がります。債券の価値が高いタイミングで売却すると、大きな利益を得られることがあるでしょう。

例えば、金利3%の債券を100万円で購入した場合を考えてみます。

通常であれば金利は3%なので、利息として3万円を受け取れるこの債券。その債券を償還日より前に売却しようとしたとき、市場金利が5%になっていると、新規の債券なら5万円の利子が受け取れるので、金利3%の債券は買い手にとって魅力がありません。そこで、新規の債券に価値を合わせ、元本から2万円を差し引いた98万円を債券の売却価格にすることがあります。売却する側にとっては、元本から引いた2万円と、受け取るはずだった利子3万円の計5万円の損失となります。

一方、市場金利が1%や2%に下がったタイミングであれば、3%の債券は高金利となって価値が上がり、元本よりも高値で売却できるでしょう。

既存の債券をお得に購入したい場合

売買しても債券自体の額面金額と金利は変わりませんが、額面金額と購入金額が異なるときは、実質的な利率が変わります。
既存の債券を購入するときの購入金額に対する償還金の利率は「利回り」といい、次の計算式を用いることで利回りのいいタイミングを知ることができます。

<債券の利回りの計算式>
利回り={1年あたりの利息+(額面金額-購入価格)÷残存期間}÷購入価格×100

例えば、償還日まで1年で、表面利率3%で100万円の債券を98万円で購入した場合、計算式にあてはめると「{3万円+(100万円-98万円)÷1年}÷98万円×100」となり、購入時の利回りは約5.1%となります。
つまり、額面上の金利よりも約2%高い利回りで購入できたことになります。
既存の債券の購入を検討しているときは、利回りが表面利率を下回らないように意識することが大切です。

債券投資のメリット・デメリット

数ある投資の中でも比較的リスクの低い債券投資には、さまざまなメリットがあります。ただし、デメリットもありますので、両方をしっかり把握した上で検討しましょう。

<債券投資のメリット>
・利益を得る方法が利息による収益(インカムゲイン)と、売却による収益(キャピタルゲイン)の2種類ある
・額面金額と表面金利が保証されるので、債券を償還日まで保有した場合の利益が安定している
・保有している債券の価格変動があっても、償還日には額面金額が戻ってくる
・途中でお金が必要になったときや債券の価格が上がったときなど、償還日を待たずに途中売却が可能

<債券投資のデメリット>
・途中売却では、市場金利などの影響で債券の価格変動が起き、損失が出る可能性がある
・発行体の財務状況が悪化したり、債務不履行が起きたりして換金できなくなる可能性がある
・外貨建ての場合、為替リスクによって損失が生じる可能性がある

債券投資を行う際のポイント

債券投資は、投資が初めての人でも挑戦しやすい投資方法ですが、購入時にはいくつか気を付けたいポイントがあります。特に個人で購入する際には、次に挙げる3点を意識しましょう。

1 債券の銘柄の信用度を確認する

債券は、発行体の経営状態などによって、格付というランク分けがされています。格付はムーディーズやスタンダード&プアーズ(S&P)、格付投資情報センター(R&I)などの格付会社が、「AAA、AA、A、BB、B+、B、C、D」といったように、信用度に合わせて数段階で発表しています(※)。
信用度は「AAA」が最も高く、下に行くほど下がっていきます。「C」以下は信用度がかなり低く、債務不履行など債券が換金できなくなるおそれがあるということです。購入前には信用度をしっかり確認してください。

※格付の表記は格付会社によって異なります。

2 金利と信用度のバランスを考える

金利が高いほどインカムゲインも高くなりますが、金利は発行体の信用度に応じて設定されているため、金利だけを見て銘柄を選ぶと信用度の低い債券の場合があります。
債券を購入する際には、金利と信用度のバランスを考慮して選ぶことが大切です。

3 条件付きの債券かどうかを確認する

債券の中には、金利が変動する「変動金利債(変動利付債)」や、株式に転換できる「転換社債型新株予約権付社債」など、さまざまな条件の付いたものがあります。
条件によっては、途中で売却できなかったり、利子が付かなかったりする債券もあるため、購入前には必ず条件を確認し、納得の上で購入するようにしましょう。

信用度の高い人気債券を購入するためにも、日頃の情報収集がカギ!

債券の発行は、発行体が資金調達のために行いますので、債券ごとに売り出されるタイミングが異なります。信用度の高い債券など人気の銘柄は、発売開始後すぐに売り切れることもあるため、日頃から情報をチェックしておくと、希望の債券を購入できるチャンスが高まります。
どれを選んでいいかわからないときや、購入したいタイミングに欲しいと思える銘柄が見当たらなかったときなどは、債券型投資信託でプロに任せるのもひとつの手でしょう。


監修者プロフィール
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。

 

執筆者プロフィール

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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