レバレッジ――投資を始める前に投資を知る!投資用語の基礎知識
投資は利益だけでなく、損失を生む可能性もあるため、何の知識もないままスタートするのはあまりにも無謀です。ところが、情報収集しようと思っても、投資家向けの解説には専門用語が複数出てきて、意味がわからないことがあります。
そこで、この連載では投資初心者が覚えておくべき基礎的な投資用語をピックアップして解説。今回は、信用取引やFX、仮想通貨投資を行うなら特に知っておきたい「レバレッジ」について学びましょう。
FXをするなら知っておきたいレバレッジ
レバレッジは、手元の資金(証拠金)の数倍~25倍の取引ができる制度です。保証金の約3.3倍までの金額で取引できる信用取引やFX、仮想通貨投資などで利用できます。自分の資金を担保にお金を借りて取引する方法であり、レバレッジを利用することを「レバレッジをかける」といいます。レバレッジの倍率は、日本国内の金融機関の場合、自己資金に応じて自動的に上限が設定される仕組みです。
例えば、1万円の資金を元手に投資をしたいとします。選んだ投資商品が株式や投資信託の場合、購入できるのは1万円分の株券や投資信託商品。しかし、信用取引やFXを行う場合、レバレッジを利用することで、下記のように1万円の資金でも、それ以上の額の投資を行うことが可能です。
・レバレッジを利用しない場合
1ドル100円のとき、資金と同額の1万円分のドル(100ドル)を購入することになります。仮に1ドルが101円に値上がりしたときに決済すると、1万100円になり、100円の利益が出ます。
・レバレッジ10倍
1ドル100円のときに、レバレッジが10倍なら、資金の10倍にあたる10万円分のドル(1,000ドル)を購入できます(証拠金の10倍の取引が可能)。つまり、1ドルが101円に値上がりしたときに決済すると、10万1,000円になり、1,000円の利益が出るのです。
レバレッジ取引の魅力とは?
レバレッジ取引の魅力は、自己資金が少額であっても大きな利益を期待できる点です。投資に使える資金がそれほど多くない人でも、レバレッジをかけることで多額のリターンを目指せます。
また、手元資金の有効活用という点でも、レバレッジは優れているといえるでしょう。100万円を保有している人が、100万円分の取引をしようとしたとき、レバレッジを利用しないと、資金のすべてをつぎ込むことになります。
しかし、25倍のレバレッジを利用すれば、たった4万円の資金で100万円分の取引が可能です。余った資金は別の投資に利用できるため、より効率良く、さまざまな投資商品に資金を分散させることができます。
レバレッジ取引の危険性
少ない金額で大きな利益が期待できるレバレッジ取引ですが、一方で、その分損失が大きくなる危険性があります。
先ほどの1ドル100円のときに1,000ドルを購入した例で、1ドルが98円に値下がりした場合について考えてみましょう。
レバレッジ10倍のときであれば、決済時に受け取れる金額は9万8,000円となり、2,000円の損失です。一方、レバレッジをかけない場合の損失は200円で済みます。つまり、レバレッジの倍率が大きいほど、損失が大きくなる可能性があるのです。
この危険性を抑えるために、FXには「ロスカット」という制度があります。損益が一定レベルを超えたときに強制的に取引が終了される仕組みで、一定以上の損失を防ぐことができます。ただし、実際には急激な為替変動があった場合、ロスカットが間に合わず、想定以上に損失が出る可能性もあることは知っておきましょう。
投資初心者は低レバレッジから始めよう
少額から大きな取引ができるレバレッジですが、大きな損失につながる危険性もはらんでいます。レバレッジを高くすればするほどリスクも高まりますから、まずは、5~10倍程度の低レバレッジから取引を始めてみることをおすすめします。
監修
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。
執筆者プロフィール