公務員は資産運用しても良いのか?公務員がすべき資産運用方法を紹介!
本記事はSBI新生銀行からのお知らせです。
「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない(日本国憲法第15条第一項)。」公務員の皆さんには骨の髄までしみこんでいる言葉ではないでしょうか?このような職業柄、副業禁止などさまざまな制約が多いのが公務員です。しかし、公務員であったとしても資産運用はできますし、むしろやった方が良いとも言えます。本稿では公務員を取り巻くお金の環境から、公務員がすべき資産運用方法を詳しく解説していきます。
目次
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1.公務員を取り巻くお金の環境
1-1.平成14年から平成23年にかけて給与水準が低下。未だ以前の水準には戻っていない。
1-2.退職金も減っている
1-3.近年の物価高
2.公務員は副業禁止だけど、資産運用はしていいの?
3.公務員こそ資産運用をすべき3つの理由
3-1.副業ができない
3-2.計画的な運用ができる
3-4.抜群の信用力がある
4.公務員におすすめの資産運用の方法とメリット・デメリット
4-1.定期預金
4-2.共済貯金
4-3.保険
4-4.外貨預金
4-5.株式投資
4-6.債券投資
4-7.投資信託
4-8.NISAの活用
4-9.iDeCoの活用
4-10.不動産投資
5.公務員におすすめしない資産運用
6.公務員が投資をする際の注意点
6-1.確定申告が必要なケースがある
6-2.勤務時間中に資産運用をしない
6-3.インサイダー取引に気をつける
7.公務員も資産運用をして老後やインフレに備えよう!
公務員を取り巻くお金の環境
安定した職業のイメージが強い公務員ですが、その給与は民間給与実態調査を元に、人事院勧告や人事委員会勧告を受けて決まります。まずは、公務員を取り巻くお金の環境について、現在の状況やどのように変化してきたのか振り返ってみましょう。
平成14年から平成23年にかけて給与水準が低下。未だ以前の水準には戻っていない。
地方公務員の給料は国家公務員の給料体系に倣っていることが多いので、ここでは国家公務員の給料を例に見ていきます。過去の人事院勧告を見てみると、平成14年から平成23年にかけて給与水準が下がり続け、この10年間で3.75%下がりました(平成19年を除く)。その後、平成26年から令和5年まではプライス改定が続き、2.39%上がりました。しかし、平成14年からのマイナスの方が大きく、改定幅だけ見れば、現在の給料は平成13年の給料に比べて、未だ1.36%低い水準なのです(注:平成18年から22年にかけて給与構造改革が行われたため、単純比較はできない)。
退職金も減っている
減っているのは、毎月の給料だけではありません。退職金も減っています。退職金は給料のようには毎年改正されるわけではありませんが、定期的に改正されています。近年では、官民格差を是正するため、平成25年から平成26年にかけて段階的に14.9%(平均402.6万円)引き下げられました。さらに、平成29年に平均78.1万円引き下げられました。
近年の物価高
給料や退職金などの収入は減る一方、最近は物価が上昇してきています。消費者物価指数を見てみると、2020年を100とした場合、2023年は105.6と5.6ポイントも上昇しました。また、厚生労働省が発表している毎月勤労統計調査(令和5年分)によれば、令和5年の現金給与総額は令和4年の比べて1.2%上昇したものの、物価上昇率がこれを上回ったため、実質賃金はマイナス2.5%と水準は下がっています。
このように公務員を取り巻くお金の環境は年々厳しくなってきています。安定した職業であることは確かですが、給料や退職金だけに頼っていては不安な状況です。公務員であっても現在の生活や将来に向けて資産運用が必要な時代になってきているのです。
公務員は副業禁止だけど、資産運用はしていいの?
公務員と言えば副業禁止。国家公務員は国家公務員法第103条及び104条で、地方公務員は地方公務員法第38条を根拠に営利企業に勤めたり、自ら事業をしたりしてはならないことになっています。このような厳しい条件がある中、公務員は資産運用をしていいのでしょうか?答えは、はい。大丈夫です。これらの法律が禁止しているのは、営利企業で働いたり、自分で事業をしたりすることを制限するものです。したがって、自分で稼いだお金を運用するだけの資産運用は公務員であったとしても、特に禁止されているわけではありません。ただし、一部の資産運用は規模により、これらの 禁止条項に抵触する恐れがあるので注意が必要です。詳細は後述します。
関連記事:資産運用の初心者が少額でも始められる運用方法を紹介
公務員こそ資産運用をすべき3つの理由
公務員は安定した職業ですが、その安定性がゆえに、資産運用の重要性を見過ごしてしまっている人も少なくないのではないでしょうか。公務員がなぜ積極的に資産運用に取り組むべきなのか、その大きな3つの理由について詳しく解説していきます。
副業ができない
国家公務員にせよ、地方公務員にせよ、副業が禁止されていることは、収入源を増やすための選択肢が限られており、収入源を増やすという観点から見ると大きな制約です。給料のみに依存する生活は、情勢が刻一刻と変化する現代社会においてリスクが伴います。物価の上昇や予期せぬ出費など、様々な要因によって家計を圧迫するリスクが増加する可能性があります。このような状況下で、資産運用は収入の柱を増やし、経済的な安定を手に入れる、公務員にとっては唯一と行ってもいい手段です。資産運用を通じて、将来にわたって安定した収入や資産作りに備えることを検討してはどうでしょうか。
計画的な運用ができる
公務員の給与体系は、原則年功序列であり、さらに定期的な昇給が見込まれるため、将来の収入を比較的簡単に予測することができます。これは資産運用における大きなメリットになります。なぜなら、自分の将来の収入やライフイベントを踏まえた上で、リスクを管理しながらも効果的に資産を増やすための計画を立てやすくなるからです。例えば、子供の教育資金、住宅購入、老後の準備などの大きなライフイベントに向けて、将来の収入を予想し、長期的な視野で投資戦略を立てることができます。
抜群の信用力がある
公務員のもう一つの大きな利点は、その高い信用力です。職業の安定性から、金融機関からの信用が高く、低利でのローンなどの資産運用を行う上で、有利な金融商品へのアクセスができます。この信用力を活用して資産運用を行うことができます。例えば、低利のローンを利用して不動産投資を行うことができます。このように、公務員は自らの信用力を資産運用のために有効活用することで、お金をより効率的に働かせることができます。 ただし、低利とはいえ借入金(ローン)の返済負担を負うことに加え、仮に不動産投資がうまくいかなかった場合には借入金の返済のみが残ってしまうリスクも考えられます。このような投資に当たっては借入金の返済計画も含めあらかじめ十分に検討する必要があります。
公務員におすすめの資産運用の方法とメリット・デメリット
それでは公務員に合った具体的な資産運用方法を挙げながら、そのメリット・デメリットを解説していきます。
定期預金
定期預金のメリットは、元本が保証されていることです。 そのため安心して預け入れることができます。一方で、デメリットは利率が低いことです。 確かに現状の定期預金は普通預金に比べると金利は高いですが、それでも低いです。長期間預けたとしても、利息による収入はあまり望めません。 定期預金は半年から1年以内には使わないが、数年から10年以内に使うため、元本を保っておきたい支出に備えて活用するのが良いでしょう。
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共済貯金
加入する共済組合が貯金事業 をしていたら、それ活用するのも1つの手です。 共済貯金は、一般的に民間の金融機関の預金よりも金利が高いのが特徴です。また元本も保証されているので安心です。 デメリットは民間の銀行の普通預金と違い、すぐにお金が出し入れできないことです。定期預金と同様にすぐには使わないお金を預けておくのに良いでしょう。
保険
保険の中には、例えば積立年金保険のように、将来に向けて積み立てることができる保険があります。これらの保険は生命保険料控除の対象になるものがあり、貯めながら節税もできるのがメリットの1つです。一方で、デメリットとしては解約すると元本割れする可能性があったり、受け取る年金額が決まっている保険ではインフレに負けたりする可能性があります。
外貨預金
外貨預金は日本円ではなく、外国の様々な通貨で預金する方法です。 外国の通貨で預金することでその国の金利が適用され、現状であれば日本円の金利より高い金利が期待できます。また預金であるので預金している外貨の元本が保証されます。 ただし、注意点として、為替の影響を受けるため、円安になった場合は為替差益が増えますが、円高になった場合は元本割れのリスクがあります。さらに、円でのお預け入れ・お引き出しなど通貨の交換には所定の為替手数料がかかることも覚えておく必要があります。また、外貨預金は預金保険の保護対象外なので、預けている金融機関が破綻したときに元本の保証がありません。
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関連記事:外貨預金とは?その仕組みから始め方を解説
株式投資
企業が発行する株式に投資する手法です。 成長しそうな企業に投資することで、大きな利益を得る可能性もあります。また投資した企業の業績や良い時は配当金が得られるのも大きな魅力です。一方で、投資した企業の業績が悪化した場合は、株価が下がり価値が棄損してしまったり、配当が出なかったりするリスクがあります。
債券投資
債券投資は、政府や企業が発行する債券(借用証書のようなもの)に投資し、定期的に利息を受け取る方法です。低リスクで安定した収益を期待でき、満期時には元本が返済されるため、元本回収の見通しが比較的明確であるのが特徴です。しかし、市場金利の上昇による価値の下落リスクや、発行者の信用不安による支払い不能リスクもあります。投資家はリスク許容度に応じて、国債、地方債、社債など多様な債券から選択し、分散投資によりリスクを管理することが重要です。安定収入を求める投資家に適した運用方法と言えます。
投資信託
投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品です。「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。また、投資信託ごとにリスクや手数料等が異なります。 一般的に投資信託は複数の投資先に投資されるので、小額で分散投資ができます。 投資する際にはどのような投資・運用を行っているのか、確認する必要があります。
NISAの活用
NISA(少額投資非課税制度)は最近特に話題なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?NISAとは少額投資非課税制度のことで、日本の個人投資家が特定の金融商品に投資した際の利益について、非課税になる制度です。この制度を利用することで、株式や投資信託などの投資から得られる配当や売却益に対して、税金がかからないため、より多くのリターンを手元に残すことが可能になります。ただし、NISA口座での投資には年間の投資上限額(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)及び生涯投資枠(1,800万円)が設けられています。
iDeCoの活用
IDeCoとは、個人型確定拠出年金のことで、老後資金のための資産形成を目的とした制度です。加入者が自ら選んだ金融商品に毎月一定額を積み立て、原則60歳以降に資産を引き出すことができます。iDeCoの最大の特徴は、拠出金が所得控除の対象となり、運用益が非課税であること、さらに受け取り時にも税制上の優遇があることです。これにより、長期的な視点での資産運用が可能となり、老後の生活資金の一助とすることが目指されています。ただし、加入資格や受け取り開始年齢に制限があるため、利用を検討する際はこれらの条件を確認することが重要です。また、NISA口座で生じた損失については、損益通算と繰越控除ができないことにも注意が必要です。
不動産投資
不動産投資は、自宅の他にアパートやマンション等を購入し、その家賃収入を得たり、資産価値が上がったときに売却し、その売却益を得たりする投資方法です。通常は、銀行などの金融機関からお金を借りて不動産を買い、家賃収入で返済していきます。そのため、少ない自己資金で大きな価値を得ることができる投資方法です。また、公務員は信用が高いので金融機関からもお金が借りやすく、信用をお金に換えることができる投資手法です。しかし、購入物件を誤ると、資産価値が下がり損をだしたり、空室が続き、自ら返済をしなければならず、逆に資産を圧迫したりします。しっかりと収益を生み出す物件か見極めが重要です。 また、このような投資に当たっては借入金の返済計画も含めあらかじめ十分に検討する必要があります。
投資の種類 | メリット | デメリット |
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定期預金 | ・元本保証 ・普通預金より金利がよい |
・金利が低い |
共済貯金 | ・元本保証 ・民間の金融機関より金利が高い |
・柔軟にお金の出し入れができない |
保険 | ・保険の保障を受けながら積立ができる ・所得控除により節税できる |
・満期前に解約すると、元本割れの可能性あり ・受け取る金額が決まっている保険では、インフレに負ける可能性あり |
外貨預金 | ・保有する外貨において元本保証 ・日本円より高金利 |
・為替により元本割れの可能性あり |
株式投資 | ・成長しそうな企業に投資することで大きな利益を得られる可能性あり ・配当金を得られる |
・業績が悪くなると、大きく株価が下がったり、配当がでなくなったりする |
債券投資 | ・低リスクで安定した収益が期待できる ・元本回収の見通しが比較的明確 |
・市場金利が上昇すると債券価値の下落リスクがある ・発行者の倒産等により回収できなくなる可能性あり |
投資信託 | ・少額で分散投資ができる | ・投資信託の内容を理解しないと、どこに投資しているのか分からない |
NISA | ・運用益や配当益が非課税 | ・毎年の投資上限額が決まっている ・損が出た場合に損益通算と繰越控除ができない |
iDeCo | ・運用益や配当益が非課税 ・拠出金が所得控除される |
・原則60歳まで引き出しができない |
不動産投資 | ・少ない自己資金で、借入金を活用し投資ができる | ・投資物件を誤ると、負債になる可能性あり |
公務員におすすめしない資産運用
一方で公務員には向かない投資方法というものもあります。公務員におすすめしない資産運用方法として、高リスクな投資や価格変動が激しい投資が挙げられます。例えば、仮想通貨や高リスク株、レバレッジ(倍率)を効かせた金融商品やFX(外国為替証拠金取引)などは、短期間で大きな利益を得る可能性があります。しかし、一方で同時に大きな損失を被るリスクも含んでいます。このような運用は一般的に「投機」と言われ、「投資」とは異なります。公務員は安定した職業であり、収入も比較的安定しているため、投機による大きなリスクを負う必要がありません。また、公務員の社会的立場や信用を考慮すると、投機的な投資や不確実性が高い投資は、仮に大きな損失を被った場合、その影響は金銭的な損失に留まらず、職業生活における信用にも影響を及ぼす可能性もあります。安定した職業である公務員にとっては、投資の原則である「長期・分散・積立」をしっかりと守り、長期的な視野で安定した成長が見込める資産運用を選択することをおすすめします。例えば、低コストで分散の効いた全世界株式インデックスファンドや様々な資産にバランスよく投資をする投資信託などを毎月一定額積み立てる方法は、リスクを分散しつつ資産を増やしていく手法として定番です。このような方法は、大きなリスクを負うことなく、安定した運用を目指すことができ、公務員としての安定した生活と将来を支える資産運用戦略として適しています。
公務員が投資をする際の注意点
公務員にとっても、安定した収入を背景として将来のための資産形成をすることはとても大切です。しかし、公務員の立場や規制を考慮に入れた上で、慎重な行動を求められる場面もあります。特に、以下の点に注意をしましょう。
確定申告が必要なケースがある
投資から得られる収益には税金がかかる場合があり、その収益が一定額を超えると確定申告が必要になります。特に、公務員は収入源が明確であるため、確定申告を怠ると税務上の問題に発展する可能性があります。また、様々な投資収益にはそれぞれ異なる税率が適用されるため、投資を行う前にその税率や申告の必要性を正確に理解しておくことが大切です。
勤務時間中に資産運用をしない
公務員には職務専念義務があります。そのため、勤務時間中に私的な資産運用活動に従事することは、職務専念義務に違反する行為です。投資活動は勤務時間外に限定し、職務に支障を来さないように心がけることが求められます。短時間で金額が大きく動く投機的な投資では、ちょっとした瞬間の値動きが大きく利益をもたらしたり、大きく損害をもたらしたりします。そのためどうしても値動きが気になってしまいます。このようなこともあるので、短期的な値動きが資産にあまり影響しない長期投資が公務員には向いていると言えます。
インサイダー取引に気をつける
職務上知り得た非公開情報を利用しての投資、いわゆるインサイダー取引は厳しく禁じられています。公務員として得た情報を利用して不正な利益を得ることは、法律で罰せられる重大な犯罪行為です。そのため、投資をする際は、公平性と透明性を保ち、どんな誘惑にも屈しない強い倫理観を持つことが不可欠です。
公務員が投資を行う際は、これらの注意点を念頭に置きながら、慎重かつ責任ある行動を心がけましょう。これにより公務員としての信頼を守りながら、個人の資産形成をすることができます。
公務員も資産運用をして老後やインフレに備えよう!
公務員であっても、安定した収入と将来の安全を確保するためには、資産運用が欠かせません。老後の生活資金やインフレに備えるためにも、積極的に資産運用には取り組んだほうが良いでしょう。しかし、投資を行う上での確定申告の必要性、勤務時間中の資産運用の禁止、インサイダー取引への注意など、公務員特有の制約と責任を理解し、遵守することが重要です。資産運用には様々な方法がありますが、公務員としてリスクを適切に管理し、長期的な視点で安定した資産形成を目指すことが大切です。長期・積立・分散投資に向いたインデックスファンドへの投資などを行うことで、リスクを抑えつつ資産を着実に増やしていくことが可能です。安定した職業である公務員であっても、昨今の不確実な未来に備えるためには、資産運用による資産の増加が不可欠です。公務員も積極的に資産運用を行い、より充実した将来を築き上げましょう。
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