定期預金のデメリットとは?メリットや活用方法も紹介

本記事は、SBI新生銀行からのお知らせです。

定期預金は元本割れのリスクがないという特性から、安心・安全な資産運用方法とされています。
「リスク」という言葉は、国語辞典で調べると、危険、危険の生じる可能性、危険度、予想通りにいかない可能性と定義されています。一般的な「リスク」の概念から考えると定期預金はローリスクと言えるでしょう。
この記事では、定期預金のデメリットとメリットを明確にした上で、定期預金をローリスクな資産運用方法として上手に活用し、賢い資産形成の選択をしていただくための情報を提供します。

定期預金について

定期預金とは何か?

定期預金とはあらかじめ決められた一定の期間、お金を預け入れ、その期間終了時に利息を受け取ることができる金融商品です。原則として満期日まで引き出すことができませんが、預け入れ・引き出しが自由な普通預金と比べて、一般的に利率が高く設定されています。金融機関によっては、預け入れ期間の取り扱いが異なりますが、預ける期間が長いほど高い利率が適用される傾向にあります。

定期預金の主な種類と特徴

主な定期預金の種類と特徴は以下の通りです。

・円定期預金
一定期間、金融機関に資金を預け、満期日に元本とあらかじめ決められた利息を受け取る商品です。預入期間は金融機関により異なり、1週間や2週間といった短期間のものから、15年や20年の長期間まであります。

・大口円定期預金
最低預入金額が1,000万円以上の大口資金を対象とした商品で、一般的に同じ期間でも定期預金より高い利率が設定されています。退職金などのまとまった資金を運用するのにも適しています。

・積立定期預金
資金を一括で預け入れるのではなく、毎月一定額を積み立てる方法で預け入れるという特性が他の定期預金と異なります。この特性により、少額から始めて目標に向けて計画的に資金を準備するのに適しています。

・外貨定期預金
日本円ではなく、米ドルやユーロなどの外貨で預け入れる定期預金です。一般的には外国通貨の金利は円よりも高いため、資産形成のチャンスがあります。外貨定期預金は、外貨に両替して一定期間預け、利息も同じ外貨で受け取ります。このため、実際のリターンは為替相場の変動による影響があります。円高時に預けて満期が円安時にあたれば、高リターンが期待できます。しかし、逆の場合は当初預入時の円の元本の価値が下がる可能性があり、短期間で資産価値が減少(急減)することもあります。また、外貨定期預金は原則中途解約ができず、預金保険制度の対象にならない点、円でのお預け入れ・お引き出しなど通貨の交換には所定の為替手数料がかかることにも注意が必要です。



主な定期預金の種類と特徴
円定期預金 大口円定期預金 積立式定期預金 外貨定期預金
最低預入金額 1円から 1,000万円以上 1,000円、5,000円、1万円等 通貨による
預入期間 1ヵ月~10年が多い 1ヵ月~10年 6ヵ月以上5年以内 1週間~5年
利率 固定または変動 固定金利 固定金利 通貨によって異なる
自動継続 あり あり - あり
預金保険の適用(*) 適用対象 適用対象(1,000万円まで) 適用対象 適用対象外

※各項目は金融機関により異なります。
(*)預金保険制度とは、銀行などの金融機関が破綻した場合に、預金者が預けている資金を保護するための制度です。定期預金や利息の付く普通預金等(一般預金等)は、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
「預金保険制度」:金融庁

なぜ定期預金が選ばれているのか?

定期預金が多くの人に選ばれる理由は、元本保証という安全性と満期時に受け取れる金額が予測できることに加え、過去の金融経験も人々の価値観に影響を与えている可能性があります。
特に1990年頃は、定期預金を3年以上預け入れた場合に金利年6.33%(*1)といった高金利時代がありました。この頃は、銀行にお金を預けるだけで、高い利息収入を得られたため、リスクを取ってまで投資をしたいと考える人は少なかったと考えられます。そして、このような経験がある世代の中には、「定期預金は安心」という価値観が残っているかもしれません。
1990年代後半以降は、低金利が続いているため高いリターンは期待できません。しかし、その安全性と確実性を求める心理は変わらず、特にリスクを避けたいと考える人にとって、定期預金は依然として魅力的な選択肢となっています。
(*1日本銀行「郵便貯金金利(2003年3月まで)」より、1990年9月~1991年7月に定額預金で3年以上預けた場合の金利)

※日本銀行「定期預金の預入期間別平均金利」のデータを元に筆者が作成

定期預金のデメリット

低金利が続いている局面では、他の投資商品(株式・債券など)の方が、より高いリターンが得られるかもしれません。株式や債券などの投資商品はリスクも伴うので、定期預金の選択を考える上で金利以外のデメリットも確認しておきましょう。

満期まで引き出せない(流動性が制限される)

定期預金は、原則として満期まで預け入れた資金を引き出すことができません。満期までの期間が長いほど利率は高く設定されますが、その反面、簡単に引き出すことができないというデメリットも存在します。そのため、急な出費や他の投資の機会があった場合でも、直ちに資金を活用することができません。

中途解約による影響

定期預金を満期前に解約すると、当初の利率より低い「中途解約の利率」で利息は計算されます。この場合も元本は保証されますが、予定していた利息を受け取ることができなくなります。

インフレに弱い

定期預金はインフレに弱いという性質があります。満期までの期間が長いほど利率が高く設定されていますが、インフレ率が定期預金の利率より高いといった状況では、満期時の資金は資産価値として目減りしてしまいます。インフレとは、物価の上昇によってお金の価値が下がることです。

例えば物価が年2%上昇するというのは、100万円のものが、1年後に102万円に値上がりすることを意味します。100万円を1年間定期預金に預け入れする場合、年2%以上の利率(*)でないとインフレに対応できないということになります。
(*)税金は考慮しないものとします。

関連記事:2%のインフレに対抗できそうな金融商品を探す

定期預金のメリット

定期預金は、いつでも出し入れ自由な普通預金より高い利率が設定されているのが一般的ですが、この他にどんなメリットがあるか確認してみましょう。

元本保証の安心感

最大のメリットの一つは、金融市場の変動に関わらず、預け入れた元本は保証されていることです。これは、リスク許容度が低い人や、安定した収益を求める人にとって大きな安心材料となります。

リターンが予測できる

固定金利の場合、契約時に利率が決まっているので満期時に受け取る利息額が正確に計算できます。予測可能という点は、将来の資金計画を立てる上で非常に有益です。例えば、特定の目標に向けて資金を準備する場合、必要な額をいつまでにどのように準備すればよいかを計画しやすくなります。

コストがかからない

預け入れ時や保有期間中、さらには途中解約の際も手数料はかかりません。余計なコストを気にすることがなく、純粋に利息収入を得られます。

仕組みがわかりやすい

定期預金はその仕組みが非常にシンプルであり、資産運用の初心者や金融教育を始めたばかりの人にとっても理解しやすいです。預け入れる金額、期間、受け取る利息が明確であり、複雑な投資戦略や市場分析を必要としないため資産運用の初心者(子ども)など、計画的な貯蓄の習慣を身につけるためにも適しています。

メリットを活かせない使い方

商品(キャンペーン)の内容を理解していなかった

銀行によっては、高金利のキャンペーンを行っているところがあります。一見すると大きなメリットを感じるかもしれませんが、これらのキャンペーンの詳細を十分に理解していないと、期待外れの結果に終わることがあります。

また、キャンペーンの高金利ばかり追求して、複数の銀行に資産を分散して預けると、長期的に見ると手間とコストがかかる場合もあるので、注意が必要です。

資産残高を一定額以上に保つことで利率がアップする「ステージプログラム」のような制度を提供している銀行もあります。それを活用することで、資産を一箇所に集中させ、より良い条件を得られる可能性もあります。しかし、この特性を見落として、単に利率の高さだけに注目して複数の銀行に分散すると、結果的に低い利率で資金を運用してしまう可能性もあります。 銀行の提供するサービスや利便性、自動更新の条件、手数料などの重要な要素を見落とさないように、商品の内容をしっかりと理解し、自分の資産運用目標に合った選択をすることが重要です。

 

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資産を分散していない(定期預金に集中)

資金の必要な時期にあわせて、満期の時期を分散したとしても、全資産を定期預金に集中させてしまうと、インフレに対応できません。
投資のリスクを減らす方法の1つとして「分散投資」があります。定期預金だけでなく、目標に応じて株式や債券など他の投資先へ分散することも検討することが大切です。

定期預金を選択する場合とは

目的に合った商品を選ぶ

定期預金を選ぶ際には、目的に合った商品を選択することが重要です。例えば、1年後に結婚を計画している場合は、1年ものの定期預金が適しています。子どもの大学進学資金を3年後に使う予定がある場合、3年ものの定期預金を選ぶことで、必要な時期に資金を確実に用意できます。
まとまった資金があれば、一括で預け入れておいても良いですし、必要な時期に合わせて少しずつ貯めていく場合は積立式で準備できます。

定期預金以外の選択肢を知って、ポートフォリオの一部として活用する

定期預金以外にも、株式、債券、投資信託などの選択肢があります。
※資産運用の商品はどれも元本割れのリスクや所定の手数料が発生します。また、預金保険制度の対象になりません。以下で紹介する資産運用方法も含め資産運用の商品で運用を始める時は、商品説明書などで詳細を確認した上でご自身でご判断してください。

・株式:会社の業績や世の中の経済状況に合わせて日々変動するため、購入するタイミング次第で、大きな利益や損失が発生します。

・債券:政府や企業が発行する債券は、定期的な利息収入(クーポン)を得られます。株式に比べてリスクは低いですが、それに伴い期待できるリターンも一般的には低くなります。安定した運用を求める方に適しています。(代表的なものは、国債です。)

・投資信託:100円や1,000円などの少額から買えることや、複数の債券や株式に分散投資することができるため、投資初心者や自分で個別の株式や債券を選ぶのが難しいと感じる方に適しています。

定期預金だけでなく、株式、債券、投資信託など他の金融商品についても理解を深めることが重要です。これらの投資商品は、それぞれリスクとリターンのバランスが異なります。適切に組み合わせることでより高いリターンを目指すことが可能です。

定期預金をポートフォリオの一部として組み入れることで、リスクを分散し、全体のバランスを保つことができます。特に、iDeCo(個人型確定拠出年金)やDC(確定拠出年金)などの制度を利用する場合は、定期的にポートフォリオを見直すことが重要です。
定期預金とこれらの投資商品を組み合わせることで、より効果的な資産運用戦略を立てることができます。

定期預金に向いている人・向いていない人

定期預金は、それぞれの目標、リスク許容度、資金使途などによって、活用した方が良い場合とそうでない場合に分かれます。自分自身の状況を正確に把握し、最適な選択をすることが重要です。

定期預金に向いている人
定期預金は、市場の変動リスクを避けたいと考える安定志向の人に最適です。
例えば、退職後の生活資金を安全に確保したいと考えるご高齢の方や、数年以内に子どもの教育費用を確実に準備したいという方です。
また、特定の将来の目標に向けて資金を計画的に準備したい人にも定期預金は適しています。例えば、数年後の家の購入や、子どもの大学進学に備えている家庭などです。定期預金の固定利率により、満期時の受け取り額を正確に予測できるため、目標達成に向けた具体的な貯蓄計画を立てやすくなります。

定期預金に向いていない人
急な出費に対応したい人にとって、定期預金は適していません。ビジネスチャンス、株や不動産などへの投資のチャンスを逃したくないと考える方は、満期までの資金引き出し制限がある定期預金はネックとなります。
また、株式・投資信託・不動産などの高いリターンを目指す投資に興味があり、投資環境が悪くなっても待つことができる、つまり市場の変動に動じずに長期的な視点で投資を考えられる人も、定期預金の低リスク・低リターンでは物足りなさを感じるかもしれません。

定期預金の際の銀行選びのポイント

定期預金を活用する際には、最適な銀行選びが重要です。以下のポイントも確認しておきましょう。

金利の高さと種類(変動金利・固定金利)

金利は定期預金の選択において最も重要な要素の一つです。1年ものの定期預金が他の銀行では、3年や5年ものよりも高い金利を提供している場合があります。そのため複数の金融機関の金利を比較することが重要です。また、固定金利は預入時に金利が確定しますが、変動金利は市場の金利変動に応じて利率が変わるため、どの程度のリスクを許容できるか、そして市場環境を考慮して、適切な選択を行うことが重要です。

預入期間

預入期間は金利に直接影響を与えます。一般的に、長期間預けるほど高い金利の傾向にありますが、銀行によってはキャンペーンなどで短期間の方が高金利を提供している場合もあります。自分自身の目標に合わせて、最適な預入期間を選択することが大切です。

利息(単利・複利)

定期預金の利息計算方法には、単利と複利の二つが存在します。 単利では元本にのみ利息が付くのに対し、複利では利息にも利息が付くため、長期間にわたる運用では複利の方が有利になります。 将来の資金目標や運用期間を考慮して、より有利な利息計算方法を提供する銀行を選ぶことをお勧めします。

通貨の種類(円建・外貨建)

定期預金は円建ての他に、米ドルやユーロなどの外貨建てで運用することも可能です。外貨定期預金は為替変動のリスクがありますが、日本より高い金利の国の通貨では、利率も高くので利率と為替レートを考えて検討しましょう。

定期預金のデメリットを理解し、賢く利用しよう!

定期預金は一般的にノーリスク(ローリスク)と認識されていますが、その安全性の背後には注意すべき点が存在します。特に、長期的に預け続ける場合、インフレによって実質的な価値が目減りする可能性があります。また、銀行の選択や商品の内容をしっかり理解しておくことで、メリットを最大限に活用できます。以下の点を考慮することが重要です。

1.目的に応じた選択:資金の必要時期や目標に合わせて、適切な期間と金融機関を選びましょう。キャンペーン金利などの条件も確認しておくことが大切です。

2.分散投資の実践:定期預金だけに頼らず、株式や債券、不動産など、他の投資商品と組み合わせることで、リスクを分散し、インフレによる影響を軽減しましょう。

3.定期的な見直し:投資環境や自分自身の財務状況は時間とともに変化します。定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じて調整することが、賢い資産運用につながります。

定期預金は、元本保証のため、多くの人にとって魅力的な選択肢です。この特徴を理解し、目標やニーズに合わせて賢く活用することが、効果的な資産形成への鍵となります。デメリットを理解し、メリットを最大に活用できれば、定期預金も資産運用戦略において見逃せない選択肢の1つになるでしょう。

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執筆者プロフィール

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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