教育資金はいくら準備すればいい?必要な金額とおすすめの貯め方

教育資金は、住宅資金と老後資金に並ぶ人生の3大資金のひとつです。子供が望む教育を受けさせてあげたいと思う反面、どれくらいの金額をどのように準備すればいいのか、悩む人も少なくありません。
そこで、子供の幼稚園から大学卒業までに必要な教育資金の目安と、貯め方について解説します。

教育資金は貯める必要がある?

教育資金には、幼稚園から大学までにかかる授業料や学用品費、修学旅行費のほか、検定料や習い事といった学校外活動費などが該当します。

あくまでも目安ですが、公立の学校に通ったときの教育資金の総額は約1,080万円、すべて私立ともなれば総額で約2,535万円が必要といわれています。一朝一夕で準備できる額ではないので、早くから準備を始める必要があるでしょう。

教育資金を貯めるタイミングは?

教育資金は総額を一度に支払うわけではありませんが、中学、高校と進むにつれて年間の費用が高くなる傾向にあり、子供が大きくなるにつれて家計の負担割合も高くなります。また、入学金や教材費、制服代など、学校に入学するタイミングでまとまった金額がかかり、中学・高校はそれぞれ3年間と、貯められる時間は短くなります。
大学で親元を離れて一人暮らしを始めたり、きょうだいで進学のタイミングが重なったりすれば、教育資金が不足するケースもあるかもしれません。教育資金は、支出が少ない幼稚園・小学校のあいだに多く貯めておくなど、長期の計画が必要です。

教育資金が思うように貯められなかったら?

経済的な理由で進学が難しい場合、奨学金制度を利用することで学費の支援を受けることができます。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が行った「平成30年度学生生活調査」によると、大学に通う学生のうち奨学金を受給しているのは47.5%(短期大学や修士・専門課程などは除く)と、半数近い学生が教育資金の不足分を奨学金でまかなっていることがわかります。

ただし、奨学金には給付型と貸与型があり、多くの人が利用している貸与型の場合は返済が必要です。返済額は借入額や借入期間によって異なりますが、2019年に労働者福祉中央協議会が発表した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、平均は月に1万6,880円でした。

一見、それほど高額には思えませんが、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果」によると、大学卒の初任給の平均額は男性21万2800円、女性20万6900円です。手取り額から生活費と返済額を捻出することを考えると、新社会人にとって決して小さい額とはいえないでしょう。
また、「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、平均の返済期間は14.7年。20年以上返済し続けるケースもあるだけに、結婚などのライフステージの変化に影響しかねません。

実際、奨学金の返済が卒業後の大きな負担になっているケースも多く見られます。我が子に経済的な負担を感じさせることなく学びの機会を与えるためにも、教育資金はできるだけ早い時期から準備するといいでしょう。

幼稚園から大学卒業までの教育資金

子供が希望する進路を歩めるようにサポートするには、教育資金をどれくらい貯めておけばいいのでしょうか。
子供に必要となる教育資金を把握するには、幼稚園から大学卒業までにかかる費用の平均額を参考にすると、だいたいの目安がわかります。
それぞれの費用の目安を見ていきましょう。

幼稚園から高校までにかかる教育費

文部科学省が発表した「平成30年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校卒業までにかかる教育費の年間平均額はそれぞれ次のようになります。

■幼稚園から高校卒業までの教育費(年間平均額)
学校種別 公立 私立
幼稚園 22万3,647円 52万7,916円
小学校 32万1,281円 159万8,691円
中学校 48万8,397円 140万6,433円
高等学校(全日制) 45万7,380円 96万9,911円

高校卒業までの教育費の総額は、幼稚園の就園期間を2年として、すべて公立の場合で521万2,311円、高校のみ私立の場合で674万9,904円、すべて私立だと1,777万7,010円となります。
なお、これらの金額は、学校教育費、学校給食費、学校外活動費で構成されています。給食のない高校3年間は昼食代が別途必要となる場合がありますし、学習塾へ通ったり複数の習い事をさせたりすれば、平均以上の学校外活動費がかかることがあります。

大学でかかる教育費

大学の場合は、入学金や授業料などで、初年度のみ納付額が高めになります。また、学部によっても授業料が大きく異なります。
文部科学省が発表している「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等の調査結果について」と「国公私立大学の授業料等の推移」の結果から総額を割り出します。

■大学にかかる教育費
学校種別 入学金・授業料を含めた
初年度の納付金の平均
2年目以降の年間授業料の平均 卒業までの総額の平均
国立大学 81万7,800円 53万5,800円 242万5,200円
公立大学 93万2,519円 53万8,294円 254万7,401円
私立大学 117万6,894円 93万943円 396万9,723円

このほか、主に私立大学では施設設備費など、授業料以外の費用も必要になります。また、自宅から公共交通機関を利用して通学する場合は定期代、実家を離れる場合は下宿代や家賃、生活費などが別途かかります。

    

        

    

貯める教育資金の目安は公的援助によって変わる

教育資金をいくら貯めればいいかは、幼稚園から大学までの平均額を合算することで目安がわかります。ただし、進路によって総額が大きく変わりますので、想定や家計とのバランスなどから目標額を設定するのが望ましいでしょう。

なお、所得要件や在学要件などの条件をクリアしている場合は、「幼児教育・保育の無償化」「高等学校等就学支援金制度」「授業料等の減免制度」などの制度を利用することで、授業料の援助や減免が受けられる可能性があります。事前に調べて受けられる援助や減免の額を把握すれば、より自分に適した貯蓄額や貯蓄ペースがわかるでしょう。

教育資金を貯める方法

幼稚園から大学までの教育資金は、援助や減免の制度を利用してもそれなりの額が必要になります。そのため、できるだけ早期から計画的に貯めていくことが大切です。
教育資金を貯める方法としては、主に次の4つが挙げられます。

児童手当

児童手当は、所得制限限度額に応じて、0歳から中学校卒業までの児童を対象に支給されます。第1子や第2子の場合、3歳未満は月1万5,000円、3歳以上は月1万円を支給。すべて貯蓄すれば約200万円を貯めることができます。第3子以降なら、3歳以上から小学校卒業までのあいだも月1万5,000円が支給されますので、さらに60万円ほど多く貯められます。
高校と大学の教育資金としては心もとないですが、ほかの貯蓄方法と組み合わせることで、大学卒業までの資金の支えになるでしょう。

積立定期預金

積立定期預金は、毎月自動的に任意で指定した金額を、普通預金口座から定期預金口座に振り替えて積み立てる金融機関の商品です。自分にとって無理のない額を設定でき、ボーナス月など特定月に積立額を増額したり、ゆとりのある月はATMから多めに入金したりすることもできます。また、積立期間の途中でも比較的自由に引き出すことができ、途中解約をした場合も元本割れのリスクがありません。

その反面、税制上のメリットはなく、金利もそれほど高くないので、利息での運用はほとんど見込めません。とはいえ、コンスタントに積み立てられるので、「高校卒業までに300万円貯めたい」といったように、期限と金額の目標が決まっている教育資金には、向いている貯蓄方法といえるでしょう。

学資保険

学資保険は、教育資金のための貯蓄型保険です。
毎月一定額の保険料を支払うことで、契約時に設定した時期と満期のタイミングで教育資金を受け取れます。また、子供のケガや病気で給付金が下りたり、契約者が亡くなった場合に、以降の保険料支払いは免除されて教育資金を満額受け取れたりと、保険商品としてのメリットがある上、保険料は生命保険料控除の対象になります。

ただし、保険の特約を付けすぎると、満期時の満期保険金が元本割れを起こすことがあります。途中解約は原則禁止で、もし途中で解約した場合も払戻金が掛け金を下回ります。
払戻金が100%以上になる掛け方であれば、毎月決まった額を長期にわたって貯めることができ、進学準備などで物入りなタイミングに合わせての受け取りもできるので、教育資金を計画的に貯められます。

投資信託

投資信託は、預けた資金を、専門家が本人に代わって運用する金融商品です。プロに任せられるため、投資の知識が十分でなくても利用できます。また、複数の資金をまとめて運用するので、個人では手が出しにくい銘柄に投資できるというメリットもあります。積立定期預金や学資保険よりも利率が高くなることが多く、高い利益を得られる可能性があるでしょう。

一方で、元本は保証されないため、運用によって預けた資金よりも下回った場合、損失が出るリスクもあります。そのため、教育資金全額を投資信託に預けるのではなく、ほかの貯蓄方法と組み合わせて運用するのがおすすめです。

我が子が希望どおりの選択をできるように、計画的な準備をしよう!

教育資金はそれなりに大きな額が必要ですが、さまざまな貯蓄方法を活用して早い時期から計画的に貯めていけば、目標額に近づけるでしょう。
いくら貯めればいいのか悩んだときは、無理のない範囲でできるだけ高めに目標を設定しておけば、子供が将来どのような道を選んでも柔軟に対応できます。我が子が希望どおりの進路を選択できるよう、コツコツ準備を進めましょう。

監修者プロフィール
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。

    

        

    

 

執筆者プロフィール

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